21:名無しNIPPER
2021/11/27(土) 21:10:55.22 ID:u50g9+A20
  
  
 「そう……ですよね……」 
  
  
  雨粒の向こうに響いた音色は余りにも静かで、街の喧騒に流されてつかみ損ねるところだった。 
  
  
 「皆さんが……私を信じてくれて……いるのですよね。それなら……私も信じてみるべき……なのかもしれません」 
  
  
  とつとつと語った言葉は、前に進もうとしている人の言葉で。 
  
  
  でも、まだどこか不安げで。 
  
  
  
 「ええ、そうよ」 
  
  
  だから私は、肯定した。自分が思っていたより声が大きくなっていた。 
  
  
 「貴方ならできる、必ずね」 
  
 「そしたら……奏さんと一緒に……デビューも出来るんですかね」 
  
 「私と?」 
  
 「奏さんの……ご迷惑じゃなければ……ですけど」 
  
  
  なにを言っているのか、迷惑になんて思うはずがないのに。 
  
  
  
 「ええ、もちろん。文香が頑張れば、きっとできるわ。私も……文香と一緒にデビュー出来たら、嬉しいもの」 
  
  
  
  それは、心からの言葉だった。 
  
  
  
  
  
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