速水奏「文、奏でる」【モバマスSS】
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83:名無しNIPPER
2021/11/27(土) 23:44:05.84 ID:u50g9+A20


 私が好きだといった、二つの映画のパンフレット。


「叔父に聞いてみたら、用意していただいたんです。そちらのパンフレットは、再上映時のものになってしまったのですが」

「そんな、とっても嬉しい。ありがとう、文香」

「喜んで、頂けたなら、良かったです」


「なんだか私、文香にもらってばっかりね。お返しがあればいいんだけど、あいにく準備をしていないし」

「そんな、お返しだなんて」




「仕方がないわね……キスで許してくれる?」

「え!?」



 ポッと文香の白い肌が真っ赤にそまった。あたふたとする文香に、私は笑ってしまった。


「キスじゃだめ?」

「いえ、そんな……」

「それか……これなんかどう?」


 私は手帳を取り出すとそこから一枚の栞を抜き取った。


「これは?」

「私が作ってみたの。まあまあ、悪くないでしょ」



 この栞を作るために、ラミネート機まで買ったのは秘密だ。

 でも、なにか形に残るもので、文香に感謝をしたかったのだ。

 手作りの栞だなんて、ちょっと子供っぽいかな。

 そう思ったけど、そんな子供っぽさも、悪くないと思った。


「嬉しいです……本当に」


 目を細めながら、文香は優しく胸元に抱いた。






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