速水奏「文、奏でる」【モバマスSS】
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82:名無しNIPPER
2021/11/27(土) 23:42:29.75 ID:u50g9+A20


 ライブは、成功に終わったと考えてよかった。

 嬉しいことに、私に対しても好意的な意見が並んでいた。

 一部じゃ、あらかじめ予定されていたのではないかと言われるぐらい。

 誉め言葉はくすぐったいが、まんざらでもなかった。


 もっとも、私の成功はライブ全体の大きな成功に比べればちょっとした添え物。





 でも、あの瞬間、私は確かに主役だった。




「そういえば、奏さん」


 二件目の喫茶店に来た時だった。

 口にするコーヒーも、気づけばホットがぴったりの季節になっていた。

 文香は持っていた紙封筒を差し出してきた。

 実のところ、それのことは気になっていたけど、また後でと文香が焦らしてきていた。


 最後のお店で渡すと思っていたけど、文香も我慢しきれなくなったのか。


「これ、プレゼントです」

「私に? なにかしら……」



 封筒の中身を取り出して、私はあっと頬が緩んだ。


 古い映画のパンフレットだった。






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