星輝子「真夏みたいに気持ち悪い」
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11: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:42:10.58 ID:Sev9O2YP0
「なんだ?嫌なら帰るか?」

半泣きの彼女を見た男は、小さく舌打ちをして問いかけた。
輝子は僅かに首を横に振る。
親友が自分の為に連れてきてくれたのだ。初日に帰れるわけもない。
嫌みったらしくため息をつくと、再びプロフィールに目を落とす。
輝子はいたたまれないように俯き、この地獄が終わるのを待っていた。
何を言われても気にしないように、心を殺していた。
だが、男の視線が趣味欄を走り、出てきた言葉を聞いた時。

「趣味何これ?キノコ栽培って・・・気持ちわりい」

輝子は顔を上げ、大きく目を開いた。

「キノコは・・・気持ち悪くなんか、ない」

か細い、掠れた声だが、彼女は答える。
自分の事は何を言われても構わない。
だが、大事なトモダチだけは、悪く言うのは許せない。
ひとりぼっちの自分に、辛い時も、苦しい時も、ずっと一緒にいてくれた
トモダチが馬鹿にされるのだけは、黙って聞くことはできない。

「いや気持ちわりいだろ。何言ってんだ」

「気持ち悪く、ない。キノコは、大事な、トモダチなんだ」

縋るような目で、男を見つめる。
男は輝子を見下ろすと、腑に落ちたような顔で鼻を鳴らした。

「ああ、そういえばお前、メタルなんてのやってたな」

彼女は虚を突かれたような顔をした。

「それが、なん…」

「いや、どこまでも趣味の悪い奴だなって」

輝子の瞳孔が開いていく。
男は彼女を見下ろしたまま語り続ける。

「メタルとか一部のオタクがカッコいいと勘違いしただけの低俗な音楽だろう?」

彼女は小さく小さく呟く。

「だまれ」

「うるさいだけの悪趣味なものを嬉々として押しつけて…サブイボが立つわ」

「だまれ、だまれ」

「メタルのジャケットって無駄にグロいものが多いだろ?自分は他人とは違うって
わざわざ人が避けるようなものを好んでるフリをしてるんだよ」

「だまれ、だまれだまれ」

血の滲むほど拳を強く握る。
歯を食いしばり、顔を震わせて男を見つめ続ける。

「気持ち悪いお前にはお似合いな、気持ち悪い趣味だ」

輝子はついに、男に詰め寄って叫んだ。

「てめェーッ!黙って聞いてりゃ好き放題言いやがって!!」


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