星輝子「真夏みたいに気持ち悪い」
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23: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:55:21.82 ID:Sev9O2YP0
しばらく談笑していると、時計を見て幸子が呟いた。

「うわ、もうこんな時間ですか、もう帰らなくちゃ……」

「そっか、じゃあ今日はお開きだな……」
以下略 AAS



24: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:56:21.67 ID:Sev9O2YP0
『ターゲット層はロリコンのオタク』

マネージャーがそう言った通り輝子はロリータ衣装に身を包み、とにかくかわいらしく振舞った。
当然キノコもメタルも封印した。幸子と小梅にすらその趣味の事を話す事はなかった。

以下略 AAS



25: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:57:13.35 ID:Sev9O2YP0
輝子は今日の幸子との出来事を思い出し、にやにやと笑う。
家に帰った輝子はさっそくCDを機材に入れ、スマホに取り込み、再生した。

いい曲だ、と思った。本当に。
メロディアスで、耳当たりがよくて、歌詞も元気が出るようなものばかりだ。
以下略 AAS



26: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:57:55.66 ID:Sev9O2YP0
新しいプロダクションに行き、そんな日々を過ごしたある日の事。
輝子はいつものように自室のベッドで目を覚ました。
冷房をつけてなお外から熱気が入り込む、真夏日。
夏、そう、夏だ。
自分が嫌いで嫌いで仕方なかった夏。
以下略 AAS



27: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 00:58:36.12 ID:Sev9O2YP0
耳を劈く蝉の声。辺りに突き刺さる真夏の日光。
外に出て数分で後悔していた。
何も楽しくなんてない。暑い。暑い。
辛い、うるさい、苦しい、だるい、しんどい。
気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い。
以下略 AAS



28: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:00:54.85 ID:Sev9O2YP0
ふらふらと、一人歩いた彼女は公園にたどり着いた。
ちらりと中を覗いたが誰もいない。
彼女は足を踏み入れ、ベンチに腰を下ろした。
ベンチは木陰になっていたが、それでもとてつもなく暑い。
むしろ木のそばにいる事で、蝉の鳴き声がいっそう近くで鼓膜を震わせた。
以下略 AAS



29: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:02:58.88 ID:Sev9O2YP0
「やあ、『星輝子』」

ゆっくりと輝子の隣まで歩くと、彼女の顔を覗き込んだ。
輝子は横を見ない。見れない。
暑くて、怠くて、顔を動かせない。
以下略 AAS



30: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:04:42.05 ID:Sev9O2YP0
「お前は、トモダチを捨てたんだ」

輝子を嘲り、見下す『それ』から目を離す事ができない。

「最近のプレイリスト、J-POPで埋まってるじゃないか。最後にメタルを聴いたのはいつだ?」
以下略 AAS



31: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:05:31.79 ID:Sev9O2YP0
「そうだよな。こんな気持ち悪い趣味があるって知られたらドン引かれちまうもんな」

「だから、必死に趣味から距離を置いてたんだよな。自分にとってどうでもいいものになって欲しかったんだよな」

「可哀想になあ。せっかくお前みたいな奴と仲良くしてやってるのに、当の本人が全く心を開いてないんだから」
以下略 AAS



32: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:06:25.42 ID:Sev9O2YP0
彼女は夢を見た。
ドロドロと、気持ち悪いものが自分の脚にまとわりついていた。
不安には思ったが無視してそのまま歩き続けていると、それはどんどん自分の体を登ってきた。
胴を這い、腕を固め、首を伝う。そしてとうとう頭まで完全に覆いつくした。
動けない。息ができない。じたばたと芋虫のように必死にもがき、口を大きく開こうとするが意味はない。
以下略 AAS



33: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:07:30.59 ID:Sev9O2YP0
そこで、彼女は目覚めた。頭に響く鈍痛とともに、意識を取り戻した。
最初に視界に映ったのは白い天井だった。
首を動かして横を見ると、白いカーテンがあった。
ぼーっとした思考で状況を整理し、今自分がいる場所が病院である事に気付いた瞬間、
一人の男が自分の元に駆け寄ってきた。
以下略 AAS



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