14: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/25(月) 23:56:01.42 ID:/ZKesHprO
 「それどころか、未来から要員が出発元の現在に戻って来れた場合、 
  さっきも言ったけど、タイムパラドックスが発生する可能性が高いの」 
 「出発元の時間と、そうではない時間。具体的にはどのような違いが?」 
 「出発元の過去ではない場合は、出発した時代とよく似た歴史を辿った、 
  別の世界に到着すると思う。その世界に要員との同一存在がいた場合、 
  その世界の自分に成り代わるかもしれない。或いは、その世界の自分と 
  同時に存在することも考えられるね」 
 「同一存在がいない場合は、そこは別の世界の自分が既に死んでいるか、 
  そもそも最初から存在していないのかもしれない」 
 「いずれにせよ、一度未来へ送り出された要員が過去に戻ることは、 
  ミラーズを使うよりも危険と言わざるを得ないの」 
 「というより、異なる時間を行き来すること自体が、既にリスクなんだけど」 
 「さらに、過去に無事に到着しても、そこで生活ができるかは別問題だよ」 
 「では、戻った先の過去が、出発元の世界の過去だったときはどうでしょうか?」 
 「一つの世界に同じ人間……とは言っても、厳密には異なるんだけど…… 
  同じ人間が複数同時に存在すると、宇宙が不安定になるかもしれないの。 
  仮に未来から出発元の時代に帰ってきたとすると、そこには現在の自分と、 
  百年後の自分が同時に存在することになる。これは本来はありえないこと。 
  そんな事態に対して、宇宙がどう対応するのか、まったく分からないんだよ」 
 「現時点で、コールドスリープで未来へ送られた要員が、ミラーズを通じて 
  現在に戻ってきたりしていない。これを宇宙視点から見た場合、僕たちが 
  存在する現在の世界は、未来から戻ってきた要員を内包する世界ではない、 
  ということ。一応確認するけど、ここまでついてこれてるかな?」 
 「はい。整理もできています」 
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