16: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/26(火) 00:01:35.51 ID:DJtq/vHtO
 「じゃあ、例え話をしよう。昔の機械装置は、大きな電力が一気に流れ込んだ際、 
  機械がそれで壊れたりしないよう、ヒューズという部品が未然に故障を防いだ。 
  ヒューズが飛ぶなんて表現、聞いたことないかな?」 
 「それなら聞いたことがある気がする」 
 「規定を超えた電力で、機械装置が壊れないようにするために、ヒューズが飛んで 
  電気の流れを断つ。これもフェイルセーフの一種さ」 
 「ここでいうフェイルセーフは、宇宙が矛盾に耐えられなくなった時、自己消滅するか、 
  歴史を改変するかもしれないということだよ」 
 「それって、宇宙が自[ピーーー]るってことになるのかな?」 
 「そういった可能性も無きにしも非ずだね。宇宙が正常な形を維持し続けるための、 
  特定の波長というかパターンがあるの。人間の体で例えると脳波が近いかにゃー。 
  異なる時間を行き来することによって、その波長に影響があるかもしれないの。 
  最悪の場合、宇宙が崩壊してしまうことも考えられる。その後、崩壊した宇宙は 
  崩壊したままなのか、再構築されるのか。どちらにしろ、何かが起きたその先で、 
  わたくしたちが知る現在の宇宙は、存在しないんだよ」 
 「他に可能性があるとしたら、過去に戻ってきた要員に免疫ができる可能性だね」 
 「免疫って、人体の仕組みでいう免疫のことかな?」 
 「考え方の一つだけど、時間を渡った人間には、宇宙が歴史の辻褄合わせをするため、 
  歴史の変化による影響が及ばない。或いは、未来から戻ってきた人は、異世界から 
  渡ってきた姿形が同じ別人という扱いになるかもしれない」 
 「宇宙が崩壊しちゃうかもしれないから、試すこともできないけど」 
 「未来から過去へ戻ろうとすると、何が起きるか分からない以上、未来へり出された人は、 
  そのまま未来で生きていくことが、無難な選択のですね」 
  
 そこで思わず、鶴乃が呟くように言葉を口にした。 
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