中野二乃「すみませーん。本日は閉店でーす」上杉風太郎「はあ? まだ真っ昼間だろ」
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1:名無しNIPPER[sage saga]
2022/08/09(火) 21:30:09.28 ID:Yhd0RwvXO
店先から店内に戻ると、焼きついた日差しが視界に影を落とす。その"夏影"の明暗の差はくっきりはっきりしていて、溜息が溢れた。

結局、フーくんは正しかったのだ。

あの日、一花を選んでいても、三玖を選んでいても、五月を選んでいても、私を選んでいても……きっと上手く行かなかったと思う。

四葉だけが。四葉じゃないといけないのだ。

それを認めるのは癪だし、悔しいけれど、認めざるを得ない事実なのだ。だから認める。
フーくんと上手く付き合えた四葉はすごい。

一花は不安定で怖いし。
三玖はちょっと重いし。
五月は物理的に重いし。

そして私は、たぶん付き合えたら満足する。

四葉だけが、その先の関係を築ける。
その先って言ってもよくわからない。
付き合って、そのあとどうなるのか。

さっぱりわからない。だからダメなんだ。

今でも好きだし、それが全てだと思ってる。
だけどきっと、好き同士の関係は別なんだ。
好きなだけじゃいけない。それ以上の何か。

「三玖はなんだと思う?」
「肉体関係」
「あんたね……」

訊いた私がバカだったわ。無論冗談らしく。

「なんだろうね」
「なにかしらね」

皿を洗いながらぼんやりと私たちは考える。

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2:名無しNIPPER[sage saga]
2022/08/09(火) 21:38:02.92 ID:Yhd0RwvXO
「そもそもフータローの性格からして、私たちが考える恋人関係とは違う気がする」
「もっと夫婦みたいな?」
「そう。でも夫婦とは何かがわからない」

夫婦というものを私たちは知らない。お母さんが居なくなってから育ててくれたあの人も独身のまま。夫婦を間近で見たことがない。
以下略 AAS



3:名無しNIPPER[sage saga]
2022/08/09(火) 21:40:30.58 ID:Yhd0RwvXO
「つまり日々の積み重ねを大切しなさいってことね。いかにも四葉の得意分野だわ」
「私たちは劇的を求め過ぎている」
「そんなことは……」

ないとは言い切れない。だからダメなんだ。
以下略 AAS



4:名無しNIPPER[sage saga]
2022/08/09(火) 21:42:39.81 ID:Yhd0RwvXO
「すみませーん。本日は閉店でーす」
「はあ? まだ真っ昼間だろ」
「まあまあ、フータロー。落ち着いて」

乙女心を踏み躙られた私が意地悪をすると、三玖が取りなして彼にお茶を差し出した。
以下略 AAS



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