侑「ポケットモンスター虹ヶ咲!」
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174: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/11/05(土) 14:22:59.92 ID:Ya9HaHl50

それにもう一つ、ずっと気になっていることがある。

──『仮にもジムリーダーよ? 雰囲気でわかると思うわ』

──『きっと君でも、会ったらすぐにジムリーダーだってわかるよ』

抽象的な表現なのに、ずいぶん断定的に“会えばわかる”と言っていたのが不思議でならない。


侑「雰囲気なんて言われても……ホントにわかるのかな」


私は机に突っ伏して頭を抱える。ジムリーダーだから、本当にすごいオーラみたいのを放っていて、一目でわかっちゃうのかもしれないけど……。

いや……。


侑「──少なくとも、小さい頃ことりさんのことはジムリーダーだって、わからなかった」


近所の優しいお姉さんくらいの認識だった。ポケモンバトルが好きになって、初めてすごいトレーナーだって認識して、すごく憧れを抱いたことを今でも覚えている。

もしかして……雰囲気っていうのは何かの例えなのかな……?


侑「うぅ〜……わからないぃ……」

リナ『どっちにしろ、雨が止むまでは一旦お休みでもいいと思う。候補を虱潰しで当たるにしても、雨の中歩き回るのは非効率だし』 ||  ̄ ᇫ  ̄ ||

侑「それはそれで、落ち着かないよぉ……雨、早く止まないかな……」

歩夢「あはは……侑ちゃん、一度これをやる! って決めたら、止まるの苦手だもんね」

侑「そうかも……。歩夢は平気なの……?」

歩夢「うーん……そわそわしちゃうのはわかるかな。でも、その時々で楽しみ方を考えちゃうかも」

リナ『その時々で楽しみ方を考える? どういうこと?』 || ? _ ? ||

歩夢「例えば今だったら……雨がたくさん降ってて憂鬱だけど、こうして喫茶店で雨の音を聴きながらのんびりするのも、風流で楽しいかもって思ったり」

侑「……あ、それはわかるかも。なんか、喫茶店ってだけで、雨音もオシャレな音楽に聞こえてくるよね」

歩夢「そうそう♪」

リナ『なるほど……面白い考え方。勉強になる』 || ╹ 𝅎 ╹ ||

歩夢「喫茶店の雰囲気がそうさせてくれるだけなのかもしれないけど……それでも、そういう風に考えたらちょっぴり雨の日も楽しい時間になるかなって」

侑「喫茶店の雰囲気……。……雰囲気……?」


──『雰囲気でわかると思うわ』。


侑「雰囲気で……わかる……?」

歩夢「侑ちゃん?」

侑「……そうか、雰囲気って、その人が持ってるものだけじゃない……その空間や、そのときの時間、うぅんそれだけじゃない……いろんなもので変わるんだ」

リナ『侑さん?』 || ? ᇫ ? ||


ポケモンジムに入る前は、襟を正さなくちゃいけない気持ちになる。そんな硬い“雰囲気”がポケモンジムにはある。

そうなると、どこだろう。会えば絶対にジムリーダーだと思えるような、ポケモンジムみたいな、そんな“雰囲気の空間”は、建物は……。

ふと顔を上げると──窓の外、雨に煙る街の中に、一際大きな建造物が見えた。


侑「……ダリアの大時計塔……」


大きな大きな存在感を放つ。いかにもボスが待ち構えていそうな、荘厳な建物が。

──ガタ! 私は、思わず椅子をはねのける様にして立ち上がった。



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