241: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/11/09(水) 11:35:24.32 ID:hVp6cgNM0
  
 歩夢「!?」 
  
 侑「歩夢、どうし──」 
  
  
 ──バチンッ! 
  
  
 侑「──ガッ……!?」 
  
  
 私が悪寒を感じた直後、火花のはじける音と共に、背後から短く聞こえる侑ちゃんの声。 
  
  
 歩夢「侑ちゃん!?」 
  
  
 思わず立ち止まって振り返る。 
  
  
 侑「……っ゛……」 
  「ブ、ブイッ」「ワシャァ…」 
  
  
 すると、転んだ侑ちゃんと、それを心配するように身を寄せるイーブイとワシボンの姿が目に入る。 
  
  
 歩夢「侑ちゃん!! 立って!!」 
  
 侑「……っ……ぅ……」 
  
  
 侑ちゃんが顔を上げて、私の方に視線を送ってくるけど、侑ちゃんは全然起き上がろうとしない。 
  
 もしかして── 
  
  
 歩夢「電撃で痺れてる……!?」 
  
  
 私は侑ちゃんを助けるために、転んだ侑ちゃんに駆け寄ろうとして、走り出し──た瞬間、バチバチバチ!! と大きな音が周囲を劈く。 
  
  
 歩夢「きゃぁっ!!?」 
  
  
 轟音に怯み、頭を抱えてしゃがみ込む。 
  
 ──音に驚いてる場合じゃない……!! 
  
 勇気を振り絞ってすぐさま顔を上げると── 
  
  
  「ラァァッ!!!!」「クライッ!!!!」 
  
  
 私の方に向かって、飛び込んでくる2匹のラクライの姿。 
  
  
 歩夢「……あ」 
  
  
 ──バチバチと激しい稲妻を全身に纏いながら飛び込んでくる。 
  
 咄嗟に身を逃がすように、後ろに下がったら、足がもつれてそのまま尻餅をつく。 
  
 すぐ立ち上がって逃げなきゃと思うのに、身体がうまく言うことを聞かない。 
  
 その間にもどんどん迫るラクライ。そのとき、何故か、ラクライたちの動きがやたらスローモーションで飛び込んでくるように見えた。 
  
 なのに、身体は動かなかった。動けなかった。 
  
 ゆっくりと迫るラクライ。あと数センチ、全身の毛が静電気で逆立ち、“スパーク”の熱で肌に熱さを感じた。 
  
 ──怖くて、目を瞑った。 
  
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