243: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/11/09(水) 11:38:53.90 ID:hVp6cgNM0
  
 数が多い……! どうにか、脱出したいけど……──まだ、足が痺れていて、満足に走れる自信がない。 
  
 電撃を受けたのは一瞬だった。足に軽い“ほうでん”を受けた程度だと思う。 
  
 それでも、私の足を止めるには十分すぎた。 
  
  
  「ラィ!!!」「クラァィ!!!!」「ラクラァ!!!!」 
  
  
 縄張りに侵入してきた外敵を許すまいと、次から次へと攻撃してくるラクライたち。 
  
 このままじゃ、ジリ貧……! 
  
  
 愛「──ルリリ! “ぶんまわす”!! リーシャン!! “さわぐ”!!」 
  「ルーーリィ!!!」「リシャァァァァァ!!!!!」 
  
  「ガゥッ!!!」「キャゥンッ!!?」「ラクラァッ!!!!」 
  
 侑「! 愛ちゃん!」 
  
 愛「ゆうゆ! 加勢に来たよ!」 
  
 侑「ありがとう……! 足に電撃を受けちゃって、走れなくて……」 
  
 愛「わかった! 時間を稼ぐから、先に行って!」 
  
 侑「うん……! ありがとう……!」 
  
  
 痺れる足を引き摺りながら、コメコ方面へと、脱出を図る。 
  
  
 愛「さぁ、リーシャン!! 存分に暴れていーからね!」 
  「シャァァァァァァン!!!!!!」 
  
  
 ラクライたちの中心で、“さわぐ”リーシャン。 
  
 しばらくの間、騒ぎ続けて、周囲を音で攻撃し続ける技だ。 
  
 あの技が切れる前に、縄張りの外まで逃げてしまいたい。 
  
 そう思いながら、足を引き摺っていた──そのとき、 
  
  
  「──アォォォーーーーーーーン!!!!」 
  
  
 辺り一帯に響き渡る、ポケモンの鳴き声。 
  
  
 侑「“とおぼえ”!?」 
  「ブイ…」 
  
  
 そして、その“とおぼえ”と同時に──ラクライたちが一気にリーシャンの周囲に群がってきた。 
  
  
 愛「わぁ!? な、何!?」 
  
  
 愛ちゃんが驚きの声をあげたのとほぼ同時に──ピシャァーーーーンッ!!!! と轟音を立てながら、リーシャンに向かって雷が迸る。 
  
  
 愛「ちょっ……!! リーシャンッ!!!」 
  「リー…シャ…」 
  
 愛「戻って!!」 
  
  
 “かみなり”で黒焦げになったリーシャンを、愛ちゃんがすかさずボールに戻す。 
  
 そして、先ほどまでリーシャンが騒いでいたバトルフィールドの先から──のっしのっしと毅然とした態度で歩いてくるポケモンの姿。 
  
 青い体に、黄色の鬣。あのポケモンは……! 
  
1002Res/2130.98 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 
書[5]
板[3] 1-[1] l20