523: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2022/11/24(木) 14:16:25.11 ID:ffPGApYk0
そう思った瞬間、カリキリが強烈な風を巻き起こし、“このは”の壁もろとも、炎が霧散していく。
そして、何故か噴き付ける“かえんほうしゃ”は、カリキリを迂回するように逸れていってしまう。
歩夢「な、なんで……」
確かに“きりばらい”によって、吹いている風が炎の方向を操っているのかもしれないけど……ここまで、強い防御の技になるとは思えない。
当惑している私に向かって、ダイヤさんが口を開く。
ダイヤ「炎は風に煽られ、より燃えやすい方へと流れていきました」
歩夢「より、燃えやすい方……?」
何を言っているのかと思ったけど……よく見たら、炎が流れていった場所には──1本の道のように草が生い茂っていた。
歩夢「“グラスフィールド”……」
ダイヤ「そのとおり。炎の流れは草のフィールドと風の力でコントロールさせていただきました」
歩夢「……っ」
どうしよう、確実にこっちの方が相性は有利なはず……どうにか攻撃を当てなくちゃ……。
ダイヤ「攻撃がうまく決まらず、焦っていますわね」
歩夢「……」
ダイヤ「一つ、教えて差し上げますわ」
歩夢「……?」
ダイヤ「わたくしのエキスパートタイプ──くさタイプにはいくつ弱点があるかご存じですか?」
えっと……くさタイプの弱点は……。
歩夢「……ほのお、こおり、ひこう、むし、どくタイプです」
ダイヤ「正解。すらすら出てくるあたり、よく勉強されていますね。そんなくさタイプのポケモンたちですが……実は攻撃面でもそこまで恵まれてはいませんわ」
……確かに、同タイプのくさタイプをはじめ、ほのお、どく、ひこう、むし、ドラゴン、はがねと攻撃が半減されてしまう対象も多い。
ダイヤ「そんな相性の面では恵まれているとは言い難いくさタイプのポケモンたちが、どうすれば戦えるか、わたくしはずっと考えてきました。多い弱点も弱点にならないように、いくつも対策を考えて」
つまり……ダイヤさんが言いたいことは──
歩夢「ただ、弱点を突いただけじゃ……勝てない……」
今さっき、ほのおタイプの攻撃をいなされてしまったように、ダイヤさんは弱点のタイプへの対策が完璧なんだ……。
最初にやろうとした、“カウンター”としての“ブレイズキック”も、偶然ではなく、こっちの反撃を読み切っての回避行動だったということ。
歩夢「……っ」
圧倒的な実力差を感じる。
ダイヤ「さあ、次はどうされますか?」
強い……これが、四天王の実力。
──だけど、
歩夢「…………すぅ…………はぁ…………」
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