67: ◆CItYBDS.l2[saga]
2024/04/17(水) 17:32:33.26 ID:aGyuAlWz0
  
  銅貨を前に、少年の手が止まる。少年の良心が止めさせたのだ。 
  これまで、多少の間違いはあれど少年は正しいと信じる道を生きてきた。 
  人として、踏み越えてはならぬ境を超えたことはなかったはずだ。 
  
  最後の一線を前に、少年の足は完全に動きを止めてしまっていた。 
  
  ふと、東の山より登った朝日が少年の目を眩ました。 
  少年の心情など歯牙にもかけず、太陽は一日の始まりを無情にも告げてくる。 
  
  日の光は、正門前に広がる昨夜の惨状を明るく照らしだしていった。 
  ほどかれた闇の中から、一目には数えきれないほどの骸が現れた。 
  その手足は千切られ、腹は食い荒らされ、流れ出た血は乾き石畳を黒く染めている。  
  
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