9: ◆CItYBDS.l2[saga]
2024/03/31(日) 20:59:47.19 ID:XVRz4++K0
  
 「うん」 
  
 「領主様の館で、食事が振舞われてる。この道をまっすぐ、広場を抜けた丘の一番上だ」 
  
  男が指をさしたのは、先ほど若い男が走り去っていった方角であった。 
  僕は、男に感謝を伝え妹を背負い館へと向かった。 
  
  広場を抜けると、男の言ったとおりに館が見えた。なるほど、この街で一番高いところに領主さまは住んでいるらしい。 
  
  石畳は緩やかな坂となっていき、妹を背負って館にたどり着くのにはかなりの時間を要した。 
  登って来た坂道を振り返ると、街が夕焼けに赤く照らされている。 
  その光景に、火に巻かれた故郷が重なった。  
  
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