3:名無しNIPPER[saga]
2024/05/04(土) 01:19:38.88 ID:3fwRECJNO
 【ハウンズレギオン】と呼ばれる傭兵部隊がある。 
  
 数年前に結成されたばかりの真新しい部隊だが、頭領を務める青年は無名にも関わらず、目覚ましい功績を挙げた。 
  
 ハウンズレギオンは要人警護から暗殺、果てには盗賊の捕縛に魔物の討伐など、報酬さえあれば大抵の荒事は引き受ける便利屋としての側面を持ち、依頼の達成率と部隊員の練度が評価され、依頼主(クライアント)からの評判は上々であった。 
  
 依頼次第でどこにでも与するので、敵になった時は面倒くさいことになると悪評もそれなりにあるのだが、大概の傭兵企業に当て嵌まることなので特に問題視はされていない。 
  
 寧ろ、金さえ積めば味方に付けられるので分かりやすくて助かるとまで言われている。 
  
 そんな業績が右肩上がりでウハウハなハウンズレギオンの代表【ディラック】は現在、品定めに町を彷徨いていた。 
  
 数日前に陥落した都市【オーリニアス】。反乱軍より奪還されたこの町では、反乱軍幹部の処刑が行われる。 
  
 広場に用意された処刑台には数台のギロチンが設置されている。 
  
 処刑人は国が手配した本職の方が努めており、その護衛をハウンズレギオンの隊員が担当している。 
  
 まだ入隊して間もないのもあって緊張が顔に出ているが、リラックスしてほしいものだ。どうせすぐ慣れることになるのだから。 
  
 万が一、幹部たちを救出せんと闘志に燃える反乱軍が襲撃してきたとしても心配は無い。 
  
 護衛担当には伝えていないが、保険として数名のエリートを各所に配置してある。ハウンズレギオン設立当初からの初期メンバーだ。実力は折り紙つきである。 
  
 「………っ!は、はいっ!!!」 
  
 ディラックが軽く手を振ると、護衛の隊員がぎこちない敬礼を返す。小さく笑ったディラックは、広場を後にした。 
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