【デレマス】橘ありす「花にかける呪い」
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10:名無しNIPPER
2025/07/31(木) 00:28:12.15 ID:DoK8Vme/0
「馬鹿なの?」

 時計の針がやけにうるさく鳴る事務所。曇り空を不満げに眺めながら、この事務所のエースたる姫川友紀は心底馬鹿馬鹿しそうに吐き捨てた。手元のビール缶のことは一旦無視しよう。

「プロデューサー、ほんっと現実論に弱いよねぇ」
「法律的に勝てない勝負はしない主義なんよ。今回やとありすちゃんが明らかに書類偽造してるし、相手は弁護士や。あの状態でこっちが押したら事務所が消し飛びかねん。ただでさえ経営はギリ黒字レベルやのに」
「事務所作る時にはあんだけ危ない橋渡ってたのに。あの時のかっこいいプロデューサーはどこ行ったのさ」
「ありゃ事情がちゃうわ。打てる手打って使えるものを何もかも使って、ようやく立ち上げられたんやから」

 何なら彼女にすら言えないようなこともしている。346プロが一枚岩でないことに心の底から感謝したものだ。
 日が落ちた街並みを眺める。ため息が漏れた。現実の壁はどこまでも分厚い。理想のために肉1ポンドを捧げたところで、それが返ってくる頃に俺が死んでいたら意味がない。紛うことなき現実。この業界は理想を売る。そのためには現実の石垣が必要で、俺はそれを建てられなかった。ただそれだけのことだ。


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