13:名無しNIPPER
2025/07/31(木) 00:35:21.96 ID:r9ema6LhO
彼女の最寄り駅から少し離れた、私鉄の大きな駅のコンコース。光が差し込むベンチは、運の良いことにまるまる1つ空いていた。
「申し訳ない、君をアイドルに出来なくて」
「あっあの、それはもういいんです……あの後、お母さんから沢山怒られましたし」
感情を無理やり押し殺した声。自分ではない、止める理由の主体。騒がしいコンコースの真ん中で、その言葉は重く響く。やはり。
「本当に?」
「……」
「オーディション会場で見た時の君はキラキラしていた。正直ダンスは未熟だったけど、それでも人を元気づけるものがあった。心の底から楽しそうだった」
「……でも」
「君は将来、何になりたいとかはあるかい?」
話題をずらしてみる。話しやすい所から会話の糸口を繋げていくのは会話の鉄則だ。
少しだけ、彼女の纏うオーラが明るくなった気がした。
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