9: ◆qJX8kuiMZI[sage]
2025/12/05(金) 19:57:08.23 ID:XTeJFan70
ばいきんまんが城に帰還する。
バタコとチーズはUFOのハンドの中で震えたままだ。
ばいきんまん「ふん。ちょっと待ってろ」
ばいきんまんはUFOから降り、ドキンちゃんの部屋に直行した。
ばいきんまん「ドキンちゃ〜ん」
ドキン「何よお?」
ばいきんまん「お友達を連れてきました。よかったら遊んでやってもらえないでしょうか?」
ドキン「気持ち悪いわね。誰を連れてきたのよ?」
ばいきんまん「じゃーん! こちらです!」
ドキン「って。バタコさんじゃないの! どうしたのよこれ!?」
バタコ「あ、ドキンちゃん」
チーズ「あんあーん」
ばいきんまん「ドキンちゃんが暇してるんじゃないかと思って連れてきました」
ドキン「あら、珍しく気が利くじゃない! 遊びましょ、バタコさん」
バタコ「……え? う、うん?」
チーズ「あうん?」
ばいきんまん「それじゃ、好きなだけ遊んだらパン工場に返してあげてね。じゃ、ばいばいきーん」
バタコとチーズを預け、ぱたり、とドキンちゃんの部屋の扉を閉めるばいきんまん。
その表情は、先ほどまでのひょうきんなものではなかった。
ばいきんまん「お前ら。来たくないやつは残っていいのだ」
かびるんるん「かびぃ……」
ばいきんまん「よし、なら行くぞ」
かびるんるんを連れて城を出るばいきんまん。
その目には、怒りの炎が燃え上がっていた。
そのころ、アンパンマンたちは作戦会議をしていた。
地図とにらめっこしていたジャムおじさんが顔を上げる。
ジャムおじさん「わかったぞ。ここから南の海に浮かぶ島だ。その名前の通り、ドクロ型の奇妙な石が目印だ」
カレーパンマン「よぉし。早速乗り込んでぶちのめすぞ!」
しょくぱんまん「待ってください、カレーパンマン。罠だったらどうするんですか」
カレーパンマン「関係ねえ! そんなもんぶっとばしてやる!」
ジャムおじさん「ばいきんまんが嘘をついている可能性もある。慎重に行動した方がいいだろうね」
カレーパンマン「うっ」
アンパンマン「僕が行きます」
カレーパンマン「はぁ? おめえ、罠だった場合どうするんだ?」
アンパンマン「それでも僕は行く。カレーパンマン、君はしばらく待機していてくれ」
カレーパンマン「はぁ!? オレをへたれ扱いする気か!」
しょくぱんまん「少なくとも、頭に血が上ったあなたが行くよりマシですよ」
カレーパンマン「なっ!?」
ジャムおじさん「しょくぱんまんの言う通りだ。少し落ち着こうか、カレーパンマン」
しょくぱんまん「アンパンマン、バタコさんたちは任せます。僕らも少し後から行きますので」
カレーパンマン「ちっ、しょうがねえ。わかったよ」
アンパンマン「では、行ってきます!」
そう言って、アンパンマンが煙突から飛び出そうとした時だった。
カバおがパン工場に飛び込んできたのだ。
カバお「アンパンマン!」
アンパンマン「カバお君!? どうしたんだい?」
カバお「ばいきんまんを許してあげて! 悪さをしようとはしてたけど、放火は誤解みたいなんだよ!」
カレーパンマン「放火は誤解? どういうことだ?」
しょくぱんまん「カバお君、話してもらえませんか?」
カバお「う、うん」
カバおは説明した。
火をつけたのはばいきんまんで間違ってないけど、ばいきんまんはその後慌てていたこと。
そして、火はニセモノのつもりだったようだということを。
ジャムおじさん「なるほど。それでは、ばいきんまんはいたずらのつもりだっただけで、あんな大火事を起こすつもりではなかったと」
カバお「うん……」
カレーパンマン「なんでえ、素直じゃねえなあ、あいつ」
しょくぱんまん「ばいきんまんらしいとも言えますけどね」
アンパンマン「ジャムおじさん、僕ばいきんまんを説得してきます。そして一緒に謝ります」
ジャムおじさん「そうしておあげ。君たちが割って入ったから、ばいきんまんも引っ込みがつかなくなったのだろう」
カレーパンマン「別に俺達は悪くねえと思うけどな」
しょくぱんまん「ばいきんまんの中では私達が悪いことになってるんですよ」
カレーパンマン「分かってらあ。とりあえずオレは引っ込んどくぜ。またあいつと会ったらケンカになっちまうだろうしよ」
しょくぱんまん「まずはアンパンマンにお任せします。聞き分けがないようでしたら、力づくで行きましょう。我々も加勢します」
ジャムおじさん「とりあえずドクロ島にばいきんまんがいるか確認するんだ。頼んだよ」
アンパンマン「分かりました! 行ってきます!」
カバお「がんばってね!」
アンパンマンは飛ぶ。
ドクロ島への道を、一直線に飛んで行った。
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