前川みく「慌ただしい一日」
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10:名無しNIPPER
2026/02/22(日) 21:33:00.10 ID:g2DVH8wF0
映画館を出て、外の明るさに目を細める。
少し歩いてから、友紀チャンが口を開いた。

「面白かったね」
「うん、面白かった」

そのまま終わるかと思ったけれど、自然に話は続いた。

「あと、レタスの煮っころがし」
「やっぱり、あそこだよね」
「あんな伏線になってるなんて思わないよね」

そこまで話したところで、ポケットの中が震えた。
スマホを取り出すと、表示されている名前に一瞬だけ視線が止まる。

――李衣菜ちゃん。

通話に出る前に、友紀に軽く合図する。

「もしもし?」
『みくちゃん?』
『高速で事故があってさ。ちょっと渋滞に巻き込まれちゃって』
「えっ……大丈夫なの?」

思わず声が強くなる。

『うん、大丈夫。事故に巻き込まれたわけじゃないから』
「……ほんと?」
『ほんとほんと』

少し間があって、続けて声が届く。

『午前中には戻るつもりだったんだけど、遅れそうで』
『帰ったら出かけようって言ってたのに、ごめん』

「そんなの気にしなくていいよ」
「無理しないで。ほんとに」

自分でも、少し急いで言ったと思う。

『ありがとう。正直、何時に戻れるかもわからなくて』
「そっか……」
「安全第一だよ」
『うん。また連絡する』

通話が切れる。
スマホを下ろして、ひと息ついた。

「……事故だって」

友紀チャンがすぐに反応する。

「大丈夫そう?」
「うん。李衣菜ちゃんは平気。でも、戻る時間はわからないって」
「心配だね」
「うん。でも、大丈夫って言ってたから」

少し歩いてから、友紀チャンが言った。

「じゃあさ」
「なに?」
「お昼にしよ。ちょうどいい時間だし」

空を見上げて、頷く。

「……うん、そうだね」

そうして、二人で駐車場の方へ向かった。


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