俺の高校生活がこんなに急に桃色に染まるわけがないっ!
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名無しNIPPER
[sage]
2026/03/02(月) 19:41:15.94 ID:7M8zy6LSO
「ここが私たちの城よ!」
弥生さん(先輩なので仕方なくさん付けしてやることにした)にゴロゴロと手を引かれてたどり着いたのは、薄暗い教室だった。というか、埃っぽい。陰鬱。気が滅入る。
見上げると、扉のうえに「社会科準備室」という札がかけられている。
いったい社会科の授業で何を準備するっていうんだーー。惑星模型でも磨いてるのかよ。
「弥生先輩! 新入部員ですか??」
部屋に足を踏み入れると、ツインテールのロリ系女子が、勢いよく弥生さんに飛びついてきた。
なんだこの子、めっちゃかわいいな。それにしても、昼間っから無邪気に抱き合うなんて……。この部活では百合が公認されているのか。
https://i.imgur.com/cggOq0b.jpeg
「早かったわね。もう勧誘してきたの? 弥生にしては御手柄よ」
ふと、上質なフレグランスが香って、黒髪ロングの清楚系女子が近づいてくる。
この人はめちゃくちゃスタイルが良いな。とくに胸のあたりが……ゴホンゴホン……18禁はやめておこう。
https://i.imgur.com/L0WSTYD.jpeg
「さて!」
引き続き状況が飲み込めないでいると、弥生さんが大きく手を叩いた。
「改めまして、鈴木永遠くん、我がエスケープ団へようこそ。我々は、このくだらない世界からの逃避を目的にした、意欲的かつ独創的、かつ可憐な頭脳派集団よ。学校の目を欺くため、一応『部活動』をしているということになってるわ」
「あ、なんだ。部活の勧誘だったんですね。でも、世界からの逃避ってのは、とどのつまり……」
「待った! 質問は最後に受けるわ。まず部員たちの紹介をしないとはじまらないわね」
嗚呼、なんという強引さだ。俺は抵抗を諦めた。
「このツインテールのかわいい子は、あなたと同じ2年生の佐藤めいちゃん。小さいけどしっかり者よ」
「よろしくお願いします。でも、あんまり弥生先輩と馴れ馴れしくしないでくださいね……」
めいがキッと猫のような目つきで睨んできた。すっかり敵意がむき出しだ。
やっぱり弥生さんとデキてるのか?
「そして、このナイスバディの黒髪美女は、私とおなじ3年で副団長の鈴木皐月」
「ちょっと弥生、余計なこと言わないで……。永遠くんね。よろしくどうぞ」
皐月さんに上目遣いで目礼をされて、俺は思わずドギマギしてしまった。
おいおい、俺は童貞じゃないっつうの。
「という素敵な部員たちが勢ぞろいなのにも関わらず、我々エスケープ団は、なぜか入部希望者に恵まれないの。だから、永遠くんに入ってもらわないと、廃部になってしまうって話。あなた、毎日屋上でぼーっとしてるでしょ。どうせ暇なんだから付き合いなさいよ」
「だから強引に勧誘したんですね。でも、部員が集まらない理由は、部長が傍若無人だからな気が……?」
「なんですってえ!?」
弥生さんが腰に手を当てて、鬼のような形相をした。角まで生えてきそうな勢いだ。
「いや、なんでもないです。あ、そうだ。ええと、特に可憐のところ、いやいや活動内容がよく分からないので説明して欲しいんですが」
俺はむかしからヤンキーのような好戦的な人間が苦手だ。というか、あえて反論しないふりをしている。ここは、とりあえず話を合わせておくのが吉だろう。
「エスケープ団の活動は高尚だから、ひとことで言うのは難しいのよね……」
弥生さんが腕を組んで考え込んだ。
「要するに、クラスに馴染めない人たちが集まった仲良しサークルよ」
すると、皐月さんが静かに水を差した。この人も別のベクトルで傍若無人なんだな。
「皐月は身もふたもない言い方をするわね……。そんな簡単なものじゃなくて、学校という残酷かつ無慈悲なシステムのなかをサヴァイブするための相互扶助団体なのよ。分かった? 合理的で魅力的でしょ? 分かったなら、いますぐ入団しなさい」
弥生さんの人差し指が、ピッと俺の眉間を差している。
「まぁ、名前を貸すくらいならいいですけど」
これも俺の処世術。多少の理不尽は、雨に降られたくらいの気持ちで耐えるのが正解なのだ。やまない雨はない。
「やったー!!」
俺がそう答えると、3人が飛び跳ねて抱き合った。
なんだ、この人たちも、かわいいところがあるんだなーー。
やっぱりこの部活では百合が公認……いや、なんでもない。聞かなかったことにしてくれ。
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