109:1[sage]
2010/07/12(月) 01:07:03.45 ID:k/jVEt.o
さて、昨日は最寄りの水場の位置を把握したが(といっても例の件で行きづらいことこの上ないが)、今日は何をしようか。
当初の予定では、まず引っ越しの荷下ろし作業を完遂させ、部屋内の整理整頓・模様替えなんかを終わらせるつもりだった。
この移住先で完全に根を下ろすにふさわしい、住みやすい生活環境を完成させたかった。
だが今日ばかりは無理だ、ウィンが居間で寝ている。
いや無理なことはないが、どうにも気まずいことこの上なし。
急に起き出して「ダル君、手伝おうか?」なんて言われたらかなわない。
とにかく今日は家の中での作業はナシ! 決定事項である。
では代わりに何をしようか。
最初は何も考えていなかったダルクだったが、ウィンとの会話の中でヒントを得た。
『よく野宿なんてできるな』
『できるよ。あ、おふろはちゃんと入ってるから』
そう、風呂。
ウィンのいう風呂がどこを指しているのか、すぐにピンときた。
バーニングブラッド。
ここからやや離れた火山地帯に、誰もが無償で利用できる温泉があるのだ。
かつて師匠と外界に出たとき一緒に連れていってもらったことがある。
バーニングブラッドの位置はしっかり憶えていた。
闇の世界の入り口は岸壁地帯の洞窟にあるが、そこからすぐのところだ。
『異世界間の境界口が近いから、外界への実地実習に相応しい』という当時の経緯が記憶に残っている。
(せっかくだから、ひとっ風呂浴びてくるか)
別にウィンの言葉を聞いて自分の身体が気になったわけではない。
というのも、これは魔法使い族の特権のようなもので、その種族のほとんどは初歩的な術でいつでも五体を清めることができるのだ。
エリアがそうしていたように沐浴などで魔翌力を研ぎ澄ますことはあっても、別に生活の必須行為ということでもない。
だからダルクがウィンの入浴状況を「気にしちゃいない」と言ったのもあながちウソではなかった。
まぁ当然ながら清めの術を習得するまでは入浴の習慣が根付いているわけで、その名残りを通じて気にかける女性魔法使いも多いようだが。
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