62:1[sage]
2010/06/12(土) 21:24:24.31 ID:Z7J9VoA0
淡い緑のポニーテールが揺れた。
声の印象とは異なり、意外にも端正で透くような顔がそこにあった。
二重まぶたの眠そうな双眸が、人形のようにダルクの顔を見上げている。
こ、この娘は……この娘もエリアとはまた違った意味で……じゃ、なくて!
「お、お前は……」
白みがかった灰色コートにミニスカート。
両手で提げた横向きの杖は、どことなく自分やエリアのものに似通っている。
さらに膨らんだコートの隙間からは、生き物の羽根のようなものが飛び出していた。
直感でそれが使い魔だと分かる。
あとの推察は一直線。
「お前は『風霊使い』? か?」
少女の眠そうな瞳が少しだけ開いた。
「あれ……? どこかで会ったっけ?」
「い、いや」
まじまじと自分を見つめる視線が恥ずかしい。
ダルクが目を反らしても、少女は赤ん坊みたく不思議そうにダルクを眺めていた。
なんだ一体この娘は。
闇を明かし外見を割ったハズなのに、まるでまだ正体がつかめていない気分――。
「ふぅん。私、有名なんだ?」
出し抜けにそんなこと言われても。
「い、いや、そういうわけじゃ」
「そう? じゃあ……そう、よく分かったね。私のコト」
口調が少し遅いせいもあり、どうもテンポがズレる。
能天気というかマイペースというか……こういう手合いはどうにもやり辛い。
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