過去ログ - 闇霊使いダルク「恋人か……」
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85:1[sage]
2010/06/20(日) 15:59:50.05 ID:AbvfNRQo
 と思ったそばから、シュルルとヒモほどき衣服こする艶めかしい音。
 見ればおもむろにコートを脱ぎ出しているウィン!

「お、おい!」
「なに?」
「お、なにってお前、いきなり脱ぐな!」
「えっ。うわぎぬぐだけ」
「う、上着……?」

 冷静になって一瞬で考え直す。
 そう、その通り、そりゃ普通、コートを身に付けたままベッドには入らない。

 こんな些細なことで動転するのは、そういう意識の表れ。
 赤面ダルクのごまかすようなせき払い。

「プッチ」

 だしぬけにウィンが何か言った。
 コートの中から、ツバサのようなものがひらめく。
 ダルクは思わず「おわっ」と驚きの声を上げた。
 
 いつの間にか、ベッドの四隅に伸びる角柱の一本に、黄色いモンスターがまとわりついていた。
 手足はない。胴が太くて短いヘビに獣耳と両翼をつけただけといった感じ。
 一目でドラゴン族であることは分かったが、それにしてはずいぶん遠慮したサイズだ。
 全体的に黄色のカラーリングだが、クリクリした瞳だけはエメラルドのような緑色。

「この子、わたしの使い魔のプッチ」
「プッチ? なんて種類のモンスターなんだ?」
「ええっと……プチリュウ?」
「それは聞き返すなよ」

 プッチが主人のように唐突にアクビをする。
 予想以上に裂けるでかい口。しかしキバはない。
 迫力はあるがあまり強そうには――

「わたし寝るけど、もしわたしに変なコトしたら、プッチがつつくから」
「だ、誰もそんなこと――え? つつく?」
 
 噛みつくとか竜巻を起こすとかじゃなくて?
 見張り役にしてはちょっと頼りなくないか?

 初対面のオトコの家にホイホイあがりこんで寝泊りしようとするぐらいだから、相当の護身を準備していると思っていたが――。
 まぁ見かけじゃその実は判断できないし、仮にも霊使いの使い魔だから全幅の信頼を置けるなにかがあるんだろう。

 プチリュウは地なのか故意なのか、ひたすら無表情を貫いていた。
 そうしているとまぬけにも聡明にもみえる。あるいは目を開けたまま寝ているようにも。


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