過去ログ - 一方通行「打ち止めが高校に入学すンだが……」
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2011/03/06(日) 20:41:39.83 ID:6SZSTCDk0
料理はしないだけでできないわけではない一方通行は、昆布で丁寧に出汁をとると、薄めのお粥を見事に作り上げた。ついでにコンビニで買ってきた白桃の缶詰を開けて、切り分けて器に盛り、冷蔵庫の中に入れる。
風邪のときは桃缶じゃん、と、嘗て世話になっていた保護者が言っていた。その根拠は未だにわからないものの、そういうものなのだと一方通行は思っている。
我ながら素晴らしい手際で仕度を終えてしまったため、まだ11時を何分も過ぎていない。缶コーヒーを片手にソファーに座り込むと、何の気なしにテレビのスイッチを入れる。ニュース番組にチャンネルを合わせて、今日の芸能界ではなんだのかんだのと言ったくだらないニュースをぼんやりと聞き流す。と。
キイイイ、とリビングの扉が開いて、怪人チビ(?)毛布が枕を抱えて立っていた。
「オマエ、何やってンだよ」
「…おきたらいなかった、ってミサカはミサカはハクジョウなあなたにもんくをいってみたり」
枕を抱え、毛布をずるずると引きずった状態のまま、ふらふらとした足取りでソファーのところにやってきた打ち止め。
「つめて」
「お、おゥ…」
じっとりと熱の籠った恨みがましい視線を向けられて、一方通行は素直にその指示に従った。打ち止めはのそのそとした仕草で一方通行の腿の上に頭をのせると、空いたスペースにころりと横になる。暫くもぞもぞと動いていたが、ベストなポジションを発見したのか、枕を抱えたまま動かなくなった。
「何のために枕持って来たンだ。そっち使え」
「かってにいなくなったあなたがわるいの、ってミサカはミサカはおことわりしてみる」
「意味解ンねェ」
肉付きの悪い自分の足よりは、枕の方が明らかに寝心地が良いはずなのだが、そういった意見は受け入れてもらえないらしい。病人は得てして理不尽で我が儘なものなので、争う気のない一方通行は彼女がしたいようにさせておく。
手を伸ばしてリモコンを取り、テレビを消すと途端に手持ち無沙汰になった。
「…あそびにいきたかったなあ、ってミサカはミサカはしょんぼりしてみたり」
「なら熱出してンじゃねェ。遠足前に熱出すガキかっつーの」
「明日ヨミカワのいえにいく、っていってたのに」
「キャンセルしといたからな。時間が合えば黄泉川だけで見舞いに来るとよ」
「そっかあ、ざんねんだね、ってミサカはミサカはやっぱりしょんぼりしてみる」
手持ち無沙汰なので、ぽんぽんと一定のリズムで打ち止めを撫でて慰めながら、一方通行は窓の外に視線を送る。5月の空は晴天で、確かに行楽日和だろうに、熱を出して家で寝てなければいけない打ち止めの状況は、ちょっと――いや、かなり気の毒な気がしてきた。
「…いつでも飯にできるぞ」
「もうちょっとしたらたべる」
病気のお姫様のご機嫌取りはいろいろと難しいらしいのである。
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