過去ログ - 上条「なんだこのカード」その2
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830:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/28(金) 06:16:41.17 ID:HWZ192fXP

もちろん、そんなことが有れば中央に居る彼も、先程まで背中で"モノ"を突きつけていた男同様に、この世から消え去っているはずだった

100mを超える巨大なクレーターの外縁部で、彼は立ちあがる

完全に原型を損ねるまでに破壊された市街は、クレーターの外も爆風と直後の負圧風によって粉々に吹き飛ばされ、原型を留めていなかった

天にはキノコ雲が浮かんでいるが、これでも抑えた方である

主たる核兵器攻撃成分の内の半分、熱線と放射能は無害な物へ変更して受け流したものの

その半分、抑えられなかった爆風などの衝撃波によって、彼の体も衣類どころか表皮・眼球・鼓膜・毛髪・筋肉までも削げ落とされるハズだった

都合のよすぎる状態に驚くカミジョウトウマだが、驚いているのは彼本人では無い、彼に寄生する二つの意思体

目の前には、既存の無線のネットワークに直接アクセス可能な、あの例の医師から貰った一方通行のチョーカーとお揃いの腕輪を始めとして、

没収された拳銃と携帯電話、財布など持ってきた彼の私物が全て転がっている

どう考えても都合がよすぎる

あの秒速300m近くの爆風と、それと同規模の爆心負圧に対する暴風の中でこれらが都合良く目の前に有るわけが無い

偶然有り得たとしても、それは神の奇跡としか言いようが無く、不自然に不幸ばかり振りかかる上条当麻らしくない

だが結局、上条当麻に起きたこの"ちょっとした"幸いだけを見るから、らしくないのである

出来るハズだった演算とそれに伴う対消滅によって生じる大量のエネルギーの安全化処理が出来なかったという不幸によって、周囲に住んでいた者達の命を、巻き込むという形で一瞬で奪ってしまった事は、限りなく度を越した不幸と言えた

それなりに発展した町の規模的に、自らの不幸によって少なくとも5万人以上を殺しただろう。自分の不幸に巻き込んだという形で殺したのなら、彼らしいとも言える

利害衡量して見れば、圧倒的に不幸なのだ

ともすれば、彼女らを悩ませるようなことが発生して、彼女らが悩んでいることすらも不幸の一つなのかもしれない

物質対消滅の演算に失敗したこと

自分たちの行いで、今度は彼に何万もの人を殺させてしまったこと

自分自身が気味が悪いほど無傷だったこと

取り上げられ、どう考えても先程の爆発で壊れてしまっているはずのモノが殆ど損傷なしで目の前に点在していること

原因不明とも言えるこれらの事々が、彼の頭脳を駆け巡るが、答えなど出るはずがなかった

特に、どうして自分の物が目の前に有るのか、ということの答えは全く見えてこない。それを必要と知っているのは、上条当麻自身しか居ないからだ

もし仮に誰かが持ってきたというのなら、その人物は上条当麻以外有り得ないと絞り込めた上に、更にそれがどこに保管されていたのかを知っていて、更にはあの爆風に耐えられなければならない

そんな存在などあるはずが無い。偶然か奇跡という、人間が思考を止めた時の言葉でしか、彼女らにも片づけることが出来なかった

ただ呆然としばらく、自分が引き起こしてしまったことの現場を見るだけでいると、天から機械的な轟音が近づいてきた


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