605:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/24(木) 18:32:07.81 ID:Li68PeD/0
北米大陸 ジオン軍基地
ここには、ザビ家の四男、若き大佐ガルマ・ザビが駐屯していた。
連邦の大基地ジャブローに近いこの地はジオン軍地球方面軍として重要な位置にあるが、実質的な指揮権は姉のキシリア・ザビにあるため、ガルマはまだ己を認められていないと思っている。
しかし、ジオンの崇高な目的は地球にあり、自分はその地球にいる。姉ではなく、自分が。
ガルマ「私の役目は地球を善き状態で差し出すことなのだ」
生まれ持った美貌の白面と脆くも見える寛容な胸襟で占領軍の浮き足立つのを抑えて軍規を維持させ、コロニー落としの強い憎悪を持っていた現地人の心を和らげ掌握するに至ったガルマの才覚は、父デギンに言わせれば軍の将としては優しすぎるというものだった。
そのガルマの許には今、士官学校を主席次席を競った赤い彗星がいた。
シャナ「残念だけど、その名は返上しなければならないわ」
不機嫌そうにシャナは言った。相変わらずだとガルマは笑う。
ガルマ「何を言う、シャナ。君を迎えることで我等の士気は高まっているのだ。それに、これからドレイク・ルフトと会う。君にも是非出席してもらいたい」
シャナが来る少し前にショット・ウェポンがガルマを訊ねた。報告には聞いていた異世界の軍隊。
共闘という言葉を交わしていたが、連邦を片付けた後の支配権を奪取する為には、初めから威力を見せておくべきだ。
シャナ「まあ、いいわ。オーラバトラーというのにも興味はあるし」
ガルマ「ほう、珍しいな。君が機体に興味を持つとは」
実際のところ、シャナはオーラバトラーに興味などなかった。本当に興味があるのは、そのパイロットが持つオーラ力というものだ。
シャナ「そういうこともあるわよ」
ガルマ「ふふん、君らしいな」
追求しないガルマを見て、シャナはこの青年の思考が変わっていないこと知って苦笑した。
およそ、人を疑うことを知らないのである。
地球に降りて現地人と社交している間に人間というものを少しは知るかと思っていたが、何も学んではいないようだ。
そう、目の前でシャナが苦笑しても、ガルマはなんとも思わないのである。
イセリア「ガルマ様。ドレイク様が参られました」
部屋に入ってきたのはイセリア――地球に降下したガルマがこの地で恋仲になった女性だ。
ガルマ「あぁ、わかった。イセリア。さぁ、行こうシャナ」
シャナはチェアから下りる。その前でガルマははばかることなくイセリアの腰をとって部屋を出て行く。
ガルマ「イセリアも来てくれるな」
イセリア「ですが、異世界の方とは……」
ガルマ「なぁに、違いはないさ」
部屋で一人になったシャナはあざ笑うように言った。
シャナ「交渉の場に女を連れていくのか……つくづく甘い男ね」
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