739:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/22(火) 02:30:00.51 ID:oz+HebRAO
いちご「もう止めて! もうやめてよぉっ! もう怖いの見せないで!!」
絡み付く腕を振り払うも身体は徐々に裂け目に飲まれてゆく。
澪「そんな身体なら死にはしないよ。約束しただろ? 殺しはしないって」
740:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/22(火) 02:30:41.05 ID:oz+HebRAO
澪「良かったじゃないか。次元の狭間に居る限りたとえこの星が滅んでも生き残れるよ。まぁ羨ましくはないけどさ」
頬を伝ういちごの涙を拭い、耳元で囁く。
冗談じゃない。永遠の苦しみなんか望んでない。
心の中でそう毒づき、いちごは澪の腕を掴んで必死に堪える。
741:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/22(火) 02:31:18.23 ID:oz+HebRAO
抜き身の刀をそっと振るい、自分の腕を掴むいちごの手を切断した。
いちごは黒い腕の力に抗えずにみるみるうちに引き摺られてゆく。
澪「甘いよ」
742:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/22(火) 02:31:47.85 ID:oz+HebRAO
黒の中から伸びた白い手、今にも霞んで消えてしまいそうなそれに何かが飛び付いた。
澪「唯──っ!?」
救うべき者が自分が生み出した闇に躊躇なく飛び込んでいった。
743:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/22(火) 02:32:19.28 ID:oz+HebRAO
纏わりつく黒が守りたかったものすら飲み込んでゆくのを見て、澪は一瞬息を飲んだ。
澪「唯っ!!」
咄嗟に我に返り、引き千切らんばかりの勢いで唯の肩を引く。
744:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/22(火) 02:32:55.34 ID:oz+HebRAO
やがて黒い腕は絶命寸前の芋虫のようにのたうち回り、氷の華となって飛散する。
それを待っていたのか、次元の裂け目は眠気に委ねた瞼のように閉じていった。
澪「なんでだよ唯……」
745:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/22(火) 02:33:30.10 ID:oz+HebRAO
澪「そんなんじゃ私達何の為にここまでやってきたのか分からないよ……。なぁ唯」
くるりと踵を返して唯と向き合う。
眼を合わせた唯は怯えたような、しかしそれでいてどこか恨めしそうな表情を浮かべていた。
746:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/22(火) 02:34:06.46 ID:oz+HebRAO
澪「…………」
唯「真面目でしっかりしてて、でも実は怖いものが苦手で……」
澪もつらつらと語る唯から目を逸らした。
747:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/22(火) 02:34:39.51 ID:oz+HebRAO
唯「そんなのやだよ──」
大きく首を振って反論しようとした唯の真横を何か熱いものが通り抜けた。
咄嗟に振り返ると頑強な壁に精密にくり抜いたような穴が空いている。
748:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/22(火) 02:35:10.37 ID:oz+HebRAO
唯はいちごを床に寝かせ、一目散に憂の元へと駆け出した。だが……。
唯「つっ……!?」
後ほんの数歩で憂に届くような距離、そこで唯の手は不可視の壁に遮られた。
749:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/02/22(火) 02:35:45.78 ID:oz+HebRAO
何故斬れないのか、それが単純に自分の力量不足である事を瞬時に悟る。
目にも止まらぬ速度で飛び交う鬼火が澪にはやけに遅く見えた。
一際大きな光が憂の身体から放出され、それは最悪の軌道を描きながら肥大してゆく。
澪「──唯!」
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