798:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/03/10(木) 01:08:26.20 ID:/gE6O3zAO
梓「──っ」
病院から外に出た梓は瞳を刺す夕日の輝きに目を伏せた。
本来ならば院内の独特な香りから解放されてほっと一息吐くところだがそうはいかない。
梓、そして桜高のトップランカー達はある問題に苛まれているのだ。
799:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/03/10(木) 01:08:54.83 ID:/gE6O3zAO
エリ「ごめんね、私達が不甲斐無いせいで……」
和「いや、気にしなくて良いわ。私の判断ミスよ」
生徒会室では重苦しい空気が漂っていた。
800:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/03/10(木) 01:09:24.38 ID:/gE6O3zAO
和「一筋縄ではいかない人ばかりだもの。やっぱり統率力を持つ人間を一人残しておくべきだったわ」
黄ばんだパソコンのディスプレイと睨み合いをしつつ、和は自身の短髪をがしがしと掻いた。
アカネ「これからどうしよう……。多分また此所が無法地帯になるのかも」
801:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/03/10(木) 01:09:58.17 ID:/gE6O3zAO
室内の空気が水を打ったように変わった。
エリ、アカネ、和の三人が一斉に梓の方を見たので梓はたちまち萎縮してしまう。
梓「あ……ご、ごめんなさい」
802:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/03/10(木) 01:10:35.63 ID:/gE6O3zAO
和「単刀直入に言うと今この学校は荒れてるの。個人の力じゃ収拾がつかないほどにね」
荒れているのはいつもの事だろう。
梓は内心そう思ったが口には出さなかった。
803:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/03/10(木) 01:11:04.60 ID:/gE6O3zAO
和「群雄割拠のこの学校で起こる争いは統計的に予測する事が出来るの。群雄割拠なのによ? 面白いと思わない?」
梓に視線をディスプレイに送るよう促し、図表を拡大する。
そこには何本かの横線と無数の黒い点が映っていた。
804:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/03/10(木) 01:11:33.45 ID:/gE6O3zAO
梓「トップランカー辺りは大人しいんですね。気付きませんでした」
和「大人しい、というには少し語弊があるわね。これを見て」
キーボードを叩き、別の図を開いた。
805:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/03/10(木) 01:12:05.69 ID:/gE6O3zAO
和は湯飲みに注がれた渋い茶を飲み干し、深く溜め息を吐いた。
和「そういう風に出来てるのよ。誰に教えられるでもなくこの学校はそうやって回ってきたの」
傍から見れば気を休める暇も無いような下剋上の風潮。
806:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/03/10(木) 01:12:40.15 ID:/gE6O3zAO
梓「何だか、質の悪い詐欺に引っ掛かってた気分です……」
和「そこの二人も同じ事言ってたわね。分かってる側からしたら滑稽だったけど」
種明かしをする奇術師のような大仰な動作で掌を振り、ほくそ笑んだ。
807:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/03/10(木) 01:13:25.74 ID:/gE6O3zAO
梓「……群雄割拠、なんてレベルじゃないですね」
和「無法地帯ね。上位ランカーが下位の生徒を無差別に襲ってるのが目立つわ。元々トップランカーだった二人が絶対の彼方を越えたのが原因よ」
和はパソコンのディスプレイに向き直り、両手でタイピングした。
808:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/03/10(木) 01:13:58.44 ID:/gE6O3zAO
桜高生徒序列八位。『辻斬り』木村 文恵。
二つ結びにしてある赤茶けたセミロングの髪と花飾り、そして見る者を朗らかな気持ちにさせる温厚な微笑みがトレードマークの生徒だ。
澪が絶対の彼方を越えるまでは実質桜高の剣術使いのナンバーツーだった。
梓「噂だけは聞いてました。理由無く人を刺し、躊躇無く人を斬り……」
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