過去ログ - 番外個体「――ただいま、帰ったよ」
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759:1 ◆3vMMlAilaQ[saga]
2011/02/21(月) 23:05:38.54 ID:drd2jubno
「なン……だと? オイオイ、どォなってやがる」
一方通行がチーズケーキをまじまじと見据えて、その驚く様は予想はできていたがそれでも失礼というか。
「その反応はムカつくなぁ。労りの言葉が出てきても良さそうなものだけど。……あのねね、チーズケーキってコーヒーとも合うんだって」
「そりゃァ有能なヤツじゃねェか。ンじゃあちょとコーヒー淹れてェ、オマエは切り分けるくらいならできンだろ」
「え? い、今食べるの? ……ていうか、食べてくれるんだね。無理なんてしなくても良いんだけど。
ミサカ的には頑張っちゃうあなたを見るのも面白そうだとは思うけどさ、ひゃひゃ」
精一杯の虚勢を張る。
本当は、こんなことが言いたいのではないのに。痛いくらいの優しさでも何でも良いから、食べると言ってくれただけで十分だったのに。
そうやって肩を落としているところへ、
「あいたぁっ!」
デコピンされた。
たかがデコピン、然れどデコピン。学園都市の第一位から食らったそれは、序列相応の威力を秘めていた。
番外個体は想定外の襲撃に目を丸くしておでこを押さえつつ、
「な、何すんだマジで!」
「あァごめェン、手が滑ったわァ」
「白々しいよ馬鹿じゃない? あー痛い、ちょー痛いなあ」
「うるせェよ、良いから黙って切り分けやがれってンだ。オマエが作ったンだろ? 食わねェわけにはいかねェだろォが」
ここに来てようやく、番外個体はデコピンの意味を理解した。
義理立てのためでも、苦しくなるだけの優しさとも違って、食べたいから食べるのだ。
口下手な一方通行が、それでも伝えるために行為に表したそのことを、
(嬉しくないはず、ないじゃん)
心臓が、脈打った。
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