125:泥源氏 ◆88arEec0.g[sage]
2010/12/18(土) 23:49:44.32 ID:ygYFXf6o
――――そう言って、彼は深々と頭を下げた。
「言い訳なンていらねェだろォからしねェし、正直何をやっていたのかは
クライアントの都合上言えないンだが、色々と心配かけてすまなかった」
あの、プライドの高い彼が、頭を下げたのだ。
昔の彼だったなら絶対出来ないであろう、堂々とした謝罪。
これには、三人とも目の前の光景が信じられず、言葉を失くさざるを得なかった。
「頭を上げるじゃん――――別に、そこまで怒っているわけじゃない。
お前が無事だったならそれでいい。でも、ちゃんと連絡は欲しかったじゃん」
「あァ、そうだな……」
「…………それにしても驚いたわ。どんな心境の変化?
キミがそんなに素直に謝罪するなんて。私としては、すごく興味深いのだけれど」
一科学者として、また長く彼を見てきた者として、純粋に芳川は興味を抱く。
それは、短い期間ではありながらも一緒に過ごしてきた打ち止めと黄泉川も
同様だったようで、興味しんしんのようだ。
彼は一度目を伏せると、覚悟を感じさせる眼差しを三人に向け、口を開いた。
「大した変化があったわけじゃねェ。ただ――――――ただ、
迷惑掛けたンなら素直に謝る、筋を通す、それが『最強』ってやつの
責任じゃねェか、って理解しただけだ。お前らは、俺の家族で、何よりも大切なモンだ。
……いつ、俺のせいで事件に巻き込まれるかなンてわからねェ。
『最強』としてオマエら守り通すのも、筋に決まってらァな……・
腹ァ括ってもらうぜェ――――黙って腕の中で守られていろよ、
いつだって駆けつけてやる。それが俺の義務で、もォ逃げねェって決めたンだよ。
――――そンだけだ」
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