206:泥源氏 ◆88arEec0.g[sage]
2010/12/23(木) 02:38:08.85 ID:Cq2hHDco
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鋼鉄破りの獲物であった一方通行のいる、五〇〇メートル先の光景は、
他人からすればにわかには信じがたい現象が起っていた。
(弾が避けた、か……)
反射の能力が発動したのか、銃弾は彼の足もとに突き刺さる。
おそらく何らかの方法で射撃が知られたのだろう。
スコープ越しに目が合う彼は、依然静かな顔だった。――――鳥肌が立つ。
(ぎゃはっ、そう、そうだよ! そうこなくっちゃあ面白くない!!)
屋上から飛び出すように駆けだした影は、先ほどの不満そうな顔とは打って変わり、
鮮烈な、あまりにも醜い、まるで大好物の獲物を見つけた肉食獣のような顔を、
仮面越しに浮かべていた。
狙われているはずの一方通行は逃げ出すことはなく、
自分の元へ迫ってくる影をつまらなそうに見やり、
コーヒーの袋を適当なところに置いて口を開く。
「どこの誰だかしらねェが、誰に喧嘩売ったのか知ってンのか?
それでここまで態々ゴソクロウとは、単なる自殺志願者としか思えねェなァ」
これは彼の自信というわけではなく、単なる事実。周知の事実だった。
その言葉は虚空に吐いた独りごとのつもりだったが、
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