310:泥源氏 ◆88arEec0.g[sage]
2010/12/25(クリスマス) 23:23:22.48 ID:GcS1DpIo
マフラーをもふもふする一方通行を横目に、
黄泉川も自分の首にマフラーを巻き、
二人無言で歩き出す。
するとどうだ。
彼女には今まで全く見えていなかった、
周りの景色が鮮明になってくるではないか。
辺りを見渡せば、カップルばかり目についてしまう。
(――――私たちを見ている人は、どう思うのかな)
隣を歩く彼は何を考えているだろう、そんなことが彼女の頭をめぐる。
黄泉川愛穂は、あまり異性と付き合いが多いわけではない。
彼女は魅力的で狙っている男性も多いが、色恋沙汰まで行き着かない。
忙しいということもあるが、そういったものにあまりに無頓着だった。
話しはあるものの、自分には必要がない。
そう言って、時間だけが過ぎて。
残念な美人と、評されるようになってしまった。
もしかしたら彼女は、夢を見るタイプだったのかもしれない。
恋愛を神聖化していた、のかもしれない。
普通に話して、普通に仲良くなって、普通に恋をする。
それが彼女には想像つかない。
自分とは違う世界の話にしか、見ることが出来なかったから。
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