過去ログ - 上条「まきますか? まきませんか?」
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327:上条と真紅 ◆zEntDqWLlc[sage saga]
2010/07/26(月) 02:06:09.13 ID:46.faFwo

「?」

 セーラー服が再び蒼の方を見る。

 蒼星石はやや迷うように視線を泳がせてから、

「翠星石が介入したら、記憶が戻るかもしれません」

 と、言った。どうも先ほどの問いかけの続きらしい。

「……」

 セーラー服の両目が不快そうに細められ、その唇からは、ふっ、とため息が吐き出された。

「翠星石、ね。あの娘、いったいどこに行ってしまったのかしら。貴女の方にあれからコンタクトは……まぁ、貴女なら、接触があったら私に言うわよね」

「……」

 蒼星石は沈黙を返すが、それは肯定の意味である。

「能力を使った形跡はない?」

「……はい。もし彼女が夢の扉を開いたりすれば、僕にも察知できますから」

「そう。でもまぁ、もうそろそろ最初に巻いたネジも尽きるころでしょうし、能力なんて使ったらそこで終了。……障害らしい障害にはならないわね」

 契約者でも見つければわからないけど、とも呟く。しかし彼女の口調と表情は、そんなことはありえない、と語っていた。

 ここは能力者の街だ。迂闊に魔術と接触をすれば、能力者の身体がただではすまない。それに科学に対する信仰に塗れたこの都市で、翠星石の話をまともに取り合う者もいないだろう。

 結局、自分たちと袂を分かった時点で、翠星石は手詰まりなのである。

「……蒼星石」

「はい、マスター」

 こたえる蒼星石の声は淀みない。それが何かを押し殺しているものかどうかは、セーラー服にはわからない。

 だがセーラー服は、そんなことには興味がなかった。


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