過去ログ - 上条「まきますか? まきませんか?」
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上条と真紅
◆zEntDqWLlc
[sage saga]
2010/07/26(月) 02:06:09.13 ID:46.faFwo
「?」
セーラー服が再び蒼の方を見る。
蒼星石はやや迷うように視線を泳がせてから、
「翠星石が介入したら、記憶が戻るかもしれません」
と、言った。どうも先ほどの問いかけの続きらしい。
「……」
セーラー服の両目が不快そうに細められ、その唇からは、ふっ、とため息が吐き出された。
「翠星石、ね。あの娘、いったいどこに行ってしまったのかしら。貴女の方にあれからコンタクトは……まぁ、貴女なら、接触があったら私に言うわよね」
「……」
蒼星石は沈黙を返すが、それは肯定の意味である。
「能力を使った形跡はない?」
「……はい。もし彼女が夢の扉を開いたりすれば、僕にも察知できますから」
「そう。でもまぁ、もうそろそろ最初に巻いたネジも尽きるころでしょうし、能力なんて使ったらそこで終了。……障害らしい障害にはならないわね」
契約者でも見つければわからないけど、とも呟く。しかし彼女の口調と表情は、そんなことはありえない、と語っていた。
ここは能力者の街だ。迂闊に魔術と接触をすれば、能力者の身体がただではすまない。それに科学に対する信仰に塗れたこの都市で、翠星石の話をまともに取り合う者もいないだろう。
結局、自分たちと袂を分かった時点で、翠星石は手詰まりなのである。
「……蒼星石」
「はい、マスター」
こたえる蒼星石の声は淀みない。それが何かを押し殺しているものかどうかは、セーラー服にはわからない。
だがセーラー服は、そんなことには興味がなかった。
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