過去ログ - 上条「まきますか? まきませんか?」
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331:上条と真紅 ◆zEntDqWLlc[sage saga]
2010/07/26(月) 02:12:46.41 ID:46.faFwo

 姫神は小萌の家で別れたときとは違い、巫女装束ではなかった。

 薄手の白いブラウスにデニム地のスカートという、ごくありふれた恰好である。あえて特異点をあげるとすれば、首から下がった十字架――――『吸血殺し』を押さえ込む封印くらいだろう。

「ごめんなさい。少し。遅れた」

 と、姫神は軽く頭を下げた。

 バス停からこの公園まではやや距離がある。急いで着たのか、彼女の呼吸は少しだけ早かった。

「いや、大丈夫。俺もいま着いたところだし」

 言いながら苦笑を浮かべる上条。

 公園の時計の針は姫神が指定した時刻よりもまだ早い。時間に間に合わなかったではなく、相手を待たせたことに謝るところが律儀な彼女らしい。

「それよりも、こっちこそごめん姫神。俺が頼んだのに、先に帰っちまって」

 と、上条は申し訳なさそうに頭を掻いた。

 疲労回復と一応の検査で入院と相成った小萌であったが、そこで問題が生じた。

 入院とあればそれなりに用意が必要である。

 疲労であるのでそんなに長期に及ばないだろうが、少なくとも着替えがなければ困ってしまうだろう。

 かと言って上条が小萌の服を探してくるのは、いろいろと問題だった。

 状況が状況なので法的にはなんとか言い逃れができるかもしれないが、きっと大切なものを失ってしまうに違いない。

 そういう諸々の事情と、一旦帰らなくても良いと言う利便性、何より一時的に小萌と同居していたということから、姫神に連絡して様々なものを持ってきてもらったのである。

 上条にしてもインデックスにしても出来ることなら目が覚めるまで側についておきたいところだったが、いかんせん病院には面会時間というものがある。それに見た目はともかく小萌は女性だ。上条としても退去せざるえない。

 荷物を持ち込む姫神のことだけ蛙顔の医者に頼み、先に帰宅した次第であった。

「いいの。事情が事情だし。それに」

 ふと、姫神の顔が見て取れるほどに曇った。

「私は。ついていかなかったから」


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