過去ログ - 上条「まきますか? まきませんか?」
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336:上条と真紅 ◆zEntDqWLlc[sage saga]
2010/07/26(月) 02:20:36.69 ID:46.faFwo

「……へ?」

 予想外のことに上条は間抜けな声を出すが、彼女の細い指は何気なく下ろしていただけの上条の右手をとり、離れない。

 手を繋いでいるわけではない。

 ただ指先だけが、絡んでいた。

「あ、あの、姫神さん?」

「……」

 姫神は上条に何も応えないまま、すっ、と視線を逸らした。髪が揺れ、空気が動き、上条の鼻先に、ふわり、と甘い香りが届く。

(こ、これはどういう状況なんでせうか)

 ついぞこういう状況に縁がない(と思い込んでいる)上条。

 夜の公園不意の接近繋がる指先憂いの美少女ほのかに感じる少女の香り。

「……」

 いきなり降って湧いた状況に、心臓がドキドキとタップダンスを踊りはじめた。

「……私は」

 微妙に固まった上条から半歩離れた位置で、姫神が右手を胸元に添えた。

 首から下がる封印の十字架、その鎖に指を絡め、彼女は再び上条を見上げる。

「私は。不安だった」

「え…」

「上条くんが小萌先生を助けに行ってから。連絡が来るまで。ずっと私は不安だった」

 チャラ、と鎖が鳴く。

 反射的に音の方を見てしまう上条。その視線が、

「!」

 見上げてくる姫神のそれと、重なった。

「……」

 蒸し暑さもまだ残る季節だ。至近距離で見る姫神の頬は気温のせいかやけに紅い。それに加えてうっすらと浮いた汗は、妙に彼女の肌を艶めかせていた。




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