過去ログ - 上条「まきますか? まきませんか?」
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上条と真紅
◆zEntDqWLlc
[sage saga]
2010/07/26(月) 02:30:34.56 ID:46.faFwo
○
上条の部屋。
そのリビングに鎮座する、大きな鞄。
「・・・・・・」
夜は眠りの時間。そう言って鞄に篭った真紅は目を閉じていたが、しかし眠りについていなかった。
「・・・・・・」
胸に当てた右手。そこにある違和感を探るように、彼女の眉はたわめられていた。
過去のこと――――『前回』についてのあやふやな自分の記憶。
どのようにして『前回』が終わり、いまがあるのか。
それを明確に記憶していないのは、なぜなのか。
そしてなによりも、
・・・なぜ、それを上条たちに言わなかったのだろう。
言うべきだった、と思う。
しかしあの病室で雛苺のことを説明したとき、どうしてかそのことに触れたくなかったのだ。
(私は……)
真紅は、ぎゅっ、と手を握った。閉じた瞼にさらに力が入り、彼女の表情が辛そうに歪む。
「……」
そう、真紅は怖かった。
言葉にすることで、いまの違和感が明確になってしまいそうで。
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