過去ログ - 智「さあ、おとぎ話をはじめよう」
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67:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします
2011/01/12(水) 22:55:54.75 ID:sZDacFKmo
 紅の光が消える。
 電気すら通っていないビルは闇に覆われる。
 けれど、僕らはそんなことを気にせずただ目の前で唄う少女を見ていた。

 唄が近くに聞こえる。身体の中に入り込んでくる。
 耳を塞いでも逃げられない、距離などもなんの意味を持たない。
 彼女が座る給水塔が、フェンスが、床が。一瞬で音もなく破壊された。

 しかし、そんな唄だけの静寂も一瞬。
 僕たちだけしかいない屋上に――青白い光が渦巻く。
 まるで、何かを産み落とそうとしているかのように。

 都市伝説を思い出す。
 『少女Aに連れられて怪物が現れる』。
 都市伝説はやはり都市伝説らしい。この少女Aを視たのは僕ら五人だけだ。
 そして僕らが初めて集まって、コレが現れる。
 だからつまり。
 僕らが、怪物を呼んだ。

 けれど。

智「――違う」

 僕らが呼んだのはこれじゃない。
 本能じゃない、何かがそれを告げる。


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