44:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]
2011/01/09(日) 15:16:39.78 ID:ebftp9go
「どうした?」
立ち尽くしたままの私を不思議に思ったのかアイツはこちらに顔を向けそんな言葉をかけてきた。
相変わらず左手の指は子猫と戯れているけれど。
私はようやくはっとなって、それからゆっくりと、恐る恐るしゃがみ込んだ。
「……」
でも私の差し出した手はかすかに震えていた。
自分でもまだどこか信じられなかったのだ。
このまま指先が触れてしまえばその瞬間繊細なガラス細工のように砕けてしまうのではないか。そんな錯覚すら覚えていた。
今までのは壮大なドッキリみたいなもので、私がまんまと引っかかるのを今か今かと待ちわびているような。
それがたちの悪い妄想だという事は自覚しているけれど、それでもやっぱり最後の最後で私は生温い幻想が壊れてしまう事が恐ろしかった。
あと数センチ。
ほんの少し手を伸ばせば触れられるというのに、まるで見えない壁に阻まれているようにそれ以上近付く事ができなかった。
そんな私の思いをよそに。
ざらりと、彼女の舌が私の指を舐めた。
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