543:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/04/06(水) 02:41:38.76 ID:9x90pYpVo
「ぎぁ――――――っ!!」
その瞬間三者が同時に動く。
査楽は苦痛の悲鳴を上げ思わず拘束の手を緩め、
浜面は無言のまま二人に向かって駆け出し、
そして滝壺は、自分が突き立てたナイフを引き抜き査楽の手を振り解いて浜面へと駆け寄る。
浜面は自分の持っているツールナイフを使わなかったのではない。
使えなかったのだ。滝壺に渡していたから。
万が一にもこのような状況になった時のために。
彼女の自衛手段として浜面はたった一つ持っていたちっぽけな武器を渡していた。
そして幸か不幸か想定していた場面は訪れ、浜面の計は功を奏す。
打ち合わせなしのぶっつけ本番。
目配せすらなしに行われた二人の連携に驚嘆すべきだろう。
両手を広げ駆け寄る滝壺を浜面は抱き留める。
首に回された手は優しく、そして強く抱擁するためのものだ。
浜面は止まらない。速度を落とさず、半ばぶつかり押し返すように彼女を抱き上げる。
止まれない滝壺の下半身は速度を保ったまま、彼女の踏み切りによって方向を変え上へ。
救い上げるように出された浜面の左手によって膝を下から抱えられ、そのまま浜面に抱き上げられる。
そうして浜面は、滝壺を抱いたまま。
「――――っらぁぁああああ!!」」
二人分の体重を乗せた蹴りが、今度こそ完全に虚を突かれた査楽に叩き込まれた。
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