544:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/04/06(水) 03:05:48.24 ID:9x90pYpVo
蹴り飛ばされた査楽には目もくれず、反動を不恰好に着地する事で逃がした浜面は再度疾走する。
なにせ絹旗の全力の蹴りを食らっても平然としていた男だ。
この程度が決め手になるとは到底思えない。
浜面は走る。
腕の中に少女を抱き、廊下を駆け角を曲がる。
「滝壺。大丈夫、か」
呼吸を乱さないように注意しながら浜面は問いかける。
「大丈夫。ごめんね、大分前から結構楽になってた。走っててあんまりにも疲れたから転んじゃったけど」
……つまり今までの具合の悪そうなのは全て演技だった訳だ。
「――ははっ」
思わず笑いが零れる。
「なんだオマエ、女優でも、目指すつもりか?」
「アカデミー賞はもらったかな」
このような状況にも関わらずそんな事を平気な顔で嘯く滝壺。
浜面は愉快で仕方がなかった。
――本当に傑作だ。
どうしてだろう。
こんな絶望的な状況で、具体的な打開策などなく都合のいい幸運に頼り切っているにも拘らず。
――まったく負ける気がしねぇんだなぁこれが……!
然り。
主人公というものは元来そういう存在だ。
ヒーロー
そしてこの場において浜面仕上は間違いなく主人公だった。
……この場においては。
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