627:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/05/09(月) 01:01:58.10 ID:Cu0QJs/Co
いっそ全てをかなぐり捨てて逃げてしまえばいいのに。
死にたくないという気持ちは理解できる。それは世界との繋がりを失う事だ。
滝壺は死そのものに恐怖はない。
明日は我が身の世界だ。いつ死んだっておかしくないし、別に構わない。
唯一どうしても生きる理由があるとすればそれもまた『アイテム』の存在。
死の先にあるのは絶対的な孤独。肉体も精神も他者も世界もない無明の常闇。
『アイテム』に強く執着する自分だからこそその恐ろしさを誰よりも知っている。
彼女たちのためになるならば喜んで死のう。そこに絶対的な信頼があるのだから。
だがこのような、誰がどう見たって死場でないところで散るのはどうしても許せない。
そこに絆は生まれず、塵のように死んでゆく。
麦野も、絹旗も、フレンダも、そして滝壺すらもいない世界。
ただただ不安で――恐ろしくてたまらない末路だった。
考えただけでも身震いがする。
これほどまでに滝壺が恐怖するのだ。浜面もまた少なからずそういう思いはあるはずだ。
いくら壊乱しているからといっても基本構造は同じ。その万分の一も感じ得ない事はないだろう。
だからこそ滝壺は思う。
「どうして――――」
どうして彼は、今紛れもない死地にあるというのに自ら飛び込んで行くのだろう。
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