628:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/05/09(月) 01:19:02.00 ID:Cu0QJs/Co
『――――知りたいか』
声がした。
遥か遠く。あるいはすぐ近くから。
距離や方向を感じさせず、それどころかその存在すらあやふやな声が聞こえた。
周囲には滝壺の他に浜面と査楽しかいない。他の人の気配はない。
だというのに声はすぐ耳元で聞こえた気すらした。
『考えてみろ』
声は一方的に続ける。
、 、 、 、 、 、 、 、 、 、
『オマエだったらどうする。いや、どうすればそうなれる』
「――――――」
考えも及ばなかった。
滝壺にとっての浜面は異形の怪物でしかない。
だからまさか、自分と重ね合わせる事など思いもよらなかったのだ。
「わた、しは――」
喉を震わせ掠れるような声を絞り出す。
考える必要はない。直感的に判断すればいい。それが真実だ。
感情は理屈ではない。あらゆる理論は後付であり、未知の怪物を既知へと変えて安心するための屁理屈だ。
「――――むぎのを」
たとえその感情が未知であろうとも、自分の感情は直感的に悟る事ができる。
「フレンダを、きぬはたを――」
もし今滝壺が胸中に抱いている感情と同じなのだとすれば。
きずな
「――――『アイテム』を、失わせないから」
彼は怪物などでは断じてない。
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