681:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/05/18(水) 21:41:52.61 ID:32iMxubGo
「要するに……私に仲介人になれっていうの?」
「そうとも言えるな」
「……」
「ちなみに相手、誰?」
「…………」
その問いにショチトルは答えない。
答えられない訳ではない。これはつまり――。
「なるほど……『男』ねぇ」
「違う。決してオマエの思っているような相手ではない」
「じゃあ何よ」
再び口ごもるショチトルだったが。
やがておずおずと、不機嫌そうに取り繕いながら僅かに眼を細めた。
「……兄、のような人だ」
「……そう」
その一言で決まった。
単によくある一つの兄妹喧嘩。その仲裁に入ったのだと思えばいい。
何より妹をないがしろにしているような奴には自分も一言二言言ってやりたい。
だがまたしばらくフレンダは黙考する。
とはいえ考えているのは事の正否に関してではなかった。
――どうして自分なのか。動きを束縛する能力者は他にいくらでもいるはずなのに。
幾らか理由を考えて、結局辿り着く結論は一つしかなかった。
よく言うあれだ。
「……結局、単に私が不幸だったってだけか」
小さく口にする。
そうは言うもののフレンダはどこかしら楽しげで、そして不安げだった。
もし自分の能力で、その能力を使わずに誰かの心を動かせるなら。
それも随分と愉快で皮肉の効いた話だ。そう思った。
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