83:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/01/19(水) 18:24:02.48 ID:Z9/RKEgRo
感情は成長する。それはまるで雪ダルマだ。
一度転がりだした小さなココロのカケラは何もせずとも少しずつ膨れ上がっていく。
溶けて消えてしまうこともあるだろう。でも私の場合、幸か不幸かそんな事はなかった。
新雪は常に降り続け、行く先には常に新しい淡雪が積もっていた。
そうして自分でも気付かぬままどんどん大きくなっていく雪玉は、いつしかとても大きなものになっていた。
私はいつの頃からかアイツを好きになってしまっていた。
自覚症状こそ出なかったものの傍目には明らかだったのかもしれない。
たちの悪い事に恋の病というものは本人にこそ一番分かり辛いものだ。
何より私とアイツの出会いは最悪なシチュエーションでのものだったし、漫画のようにお気楽な学園生活の中で生まれたものではない。
何かにつけて私たちは剣呑な場面でアイツと出会っていたのだから。
こと私とアイツの周りに限って言えば、それを恋だと指摘してくれるような親切で意地の悪い共通の友人なんてものも存在しない。
精々私の後輩がいいとこだろうけど、あの子がそんな事をするはずもないし。
どころかあの手この手で妨害してくるだろう事は火を見るよりも明らかだ。それはそれで自覚するにはいい材料なのかもしれないけれど。
今までの私はその感情がどういう性質のものなのか理解できず(直感的には分かっていたのだろうけれど)お陰でそれを否定せざるをえなかった。
だってそれは未知の感情だ。
心の中に生まれたそれはまるで怪物。理解できないからこそ恐ろしい。
でもよく言うあれ、幽霊の正体見たり何とやら、だ。
タネが割れてしまえば分かってしまえば何て事はない、何の変哲もないよくある答えだった。
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