29:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage]
2011/01/08(土) 20:50:17.61 ID:JeVAPgDO
「とりあえず薬出して置くからこれ飲んで今日は早目に休むように」
「風邪、ですか?」
「うん、この時期は風邪引きさん多いみたいだからね?とはいえ油断してはいけないよ?」
安堵か、拍子抜けか。肩の荷ががっと下りたように息を吐き、上条は手渡された薬をしっかりと鞄に入れた。
「今日は温かくして寝るように。また辛くなったら来るんだよ?」
「はい、ありがとうございました」
彼の言葉に安心したか、上条はホッとしたような表情で冥土帰しに頭を下げ、扉を閉めた。
「……風邪、か」
ポツリと呟き、受付で診察料(大ダメージ)を払うとそのまま家路に着……かない。
「はぁ、昨日は特売逃したからなぁ。家の冷蔵庫もすっからかんだ、何か買ってかなくちゃな」
家計と冷蔵庫の中身に落胆しながらいつものスーパーへの道を歩き出していった。
……彼は記憶喪失だ。今まで怪我以外病院のお世話になったことがなかった。
……彼は記憶喪失だ。風邪の症状など『知らなかった』。
「……もしもし。調べてほしい事があるんだけどね?」
そして一人しかいなくなった先程の診察室で、世界一と称される名医の声だけが響いた。
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