762: ◆LKuWwCMpeE[sage]
2011/02/07(月) 00:44:51.79 ID:3y0709oDO
「黒、子…………?」
その泣き顔に少しだけ驚いた色が付け加えられる。
インデックスも御坂妹も木山も、ただ見守っているだけだった。
──良いわけ、ないじゃない…………!
しかし自分が彼に顔を合わせる資格など有り得ようか。
こうして、かつて彼のいた場所で彼の身を案ずる。
贖罪にもなりはしないが、自分にはもうこうするしか出来ないというのに。
黒子の口が再び開く。
「あの類人猿がお姉様にとって、どれだけ大切な存在かは分かりませんの」
──だったら…………!
だったら放っておいて欲しい。
何せ彼は自分の全てだったのだから。
自分の生き甲斐そのものなのだから。
それを自分から突き放してしまった苦悩、悲しみなど分かってたまるか。
「でも」
黒子が続ける。美琴に嫌われるのを。
何よりも大好きな先輩に嫌われるのを、覚悟して。
「でも、私がお姉様の立場だったのなら、そんな弱虫みたいにいじけるだけの惨めな姿にはなりませんの」
「………………っ!」
「私だったらば、じっとはしていられませんの。大好きな方があの様な状態になっても」
黒子の目はじっと美琴の目を見つめている。
少しでも、伝わってくれればいい。
彼女を救うのは、自分ではない。
それでも少しだけでも、伝わってくれればいい。
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