過去ログ - 俺の妹が身長180cmなわけはない
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508: ◆5yGS6snSLSFg[sage saga]
2011/03/19(土) 21:22:54.09 ID:BTEDHaXWo
「で? 俺の高校に来た理由ってなんだ?」
いつもの登校路を沙織と連れだって歩く。見慣れた風景のはずなのに今日はえらく新鮮な気がするぜ。
単純に春休み明けってものあるんだろうけどさ。
「実はそんなに大したことではないんですけど……単純に遠かったからです」
「えっ? それだけ?」
「はい。今まで通っていた中学校とは少し違う場所に校舎があるものですから」
「ふーん」
はっきり言って拍子抜けだった。まさかそんな単純な理由だったなんて。
でも、本当にそれだけか? ……はっ!? まさかいじめにあっていたとかじゃないだろうな!?
進路を変えるという人生に大きな影響を与える事柄であるから、最低でも両親には話さざるを得ないが――
こいつのことだ、俺には無用の心配をかけまいと黙っているはず。
だとしたら俺はそんな沙織に今まで気づいてやれず――
「ふふっ、そんな顔しなくても大丈夫です。いじめが原因ではありませんよ?」
「ぐっ……」
どうやら、本当に俺の心は筒抜けらしい。それとも顔に出過ぎるのがいけないのか。
「で、でも、大学進学のことも考えたらあっちの方がよかったんじゃないのか?」
実際、うちの高校は平凡そのものの進学率だぞ? あるのは普通科だけで、理数科だったりの特別進学コースがあるわけでもないし。
「それはあちらでも同じですから。一貫の大学には行きたい学科はありませんし。ですから、大学受験を考えるならどちらでも一緒なんです。経済的にはこちらの方が圧倒的に安上がりですし」
「そうは言ってもな」
沙織の言うことはもっともだ。付属の大学に行きたい学科がないのなら、普通に考えてうちの高校に来るのが妥当だと言える。
だけど、なぜだろう。このもやもや。腑に落ちないというか、なんとも言えないこの感じ。
「それとも、私が一緒では迷惑でしたでしょうか?」
うるうると目をうるませ、しょんぼりと項垂れる沙織。
「そ、そんなことないぞ! 俺だって一緒の高校に行けて嬉しいって!」
まるで恋人同士の会話だな。俺はいつからこんなシスコンになってしまったのか。
自分が言った内容に呆れ、自嘲気味に笑う。
すると、どこからともなくこんな声が聞こえてきた。
「あの子、超かわいくね? でかいけど」
「どの子? うお、まじだ。超かわいい。 でかいけど」
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