過去ログ - 俺の妹が身長180cmなわけはない
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520: ◆5yGS6snSLSFg[sage saga]
2011/03/22(火) 18:02:41.36 ID:/jaFti/Vo
「その通りです。ぎりぎりまで引っ張ってお兄様に盛大に驚いて頂こうと思いまして」
「……そうかい」

俺を驚かせるのがそんなに楽しいんだろうか?
そんな沙織の策略に見事にはまり、大声をあげて驚いてしまったことはまだ記憶に新しい。

「『なんでおまえがその制服を着ているんだあああああああ』ってな具合に、盛大に驚いておいででしたな」
「ぐっ……」

俺の恥ずかしい記憶を思い出させるんじゃない! しかも黒猫の前で!

「いや〜、お兄様のあのときの顔といったら。是非瑠璃ちゃんにも見せてあげたかったでござる」

何か言い返してやりたいのは山々だが、驚いてしまったのは事実なのでどうしようもない。
ちくしょう。何かしら反論の余地は――

「ん? 瑠璃ちゃん?」

誰それ。初めて聞く名前だけど。
沙織が黒猫とアイコンタクトを交わす。黒猫が頷くと、沙織は“瑠璃ちゃん”の正体について語ってくれた。

「五更瑠璃。黒猫氏のほんみょ――いや、人間界での仮の名前です。数字の五に夜が更けるの更、瑠璃色の瑠璃と書きます。ねっ、瑠璃ちゃん」
「……その名前で呼ぶのはやめてちょうだい」

五更瑠璃。それが黒猫の名前らしかった。
ふーん。なんというか……当たり前のことなんだけど、黒猫にも本名があったんだな。なんだか妙に感慨深い気分だ。

「これからも黒猫――でいいんだよな?」

呼び方について黒猫に確認をとる。
今さら呼び方を変えようとは思わないし、今となっては普通の名字よりも黒猫というHNで呼ぶ方がしっくりくる。
それに先ほど、その名前で呼ぶなと黒猫本人が言ったばかりだからな。

「…………ええ。そうしてちょうだい」

黒猫は端的にそう答えた。ちょっと間があったのが気になるけど、まあ本人がそうしてくれと言うんだから問題ないだろう。

「さてと、お茶とお菓子でも取ってくるわ」
「あっ、そういうことでしたら拙者が――」
「いいって。気にすんな」

一つの話題が終わったところで、せっかく我が家を訪ねてくれた友人にお茶を出し忘れているのに気付いた俺は、自分が行こうとする沙織を制してリビングへと向かった。





「京介、おまえに話がある。食事が終わったらわしの部屋まで来い」

始業式の日つまり黒猫の本名が判明したその日の夜。
夕食時、親父にいきなりこう切り出された。

「あ、ああ。わかった」

おふくろや沙織は何事かと目を丸くしている。
そして、親父が先に食事を終え自室に引っ込むとこぞって「何かあったのか」だの、「何かやらかしたのか」だのと聞いてきた。
何があったのかは俺が聞きてえくらいだよ。
沙織は単純に心配してくれてるだけだと思うが、おふくろは面白がってやがるな。さっきから顔が半笑いになってるぜ。



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