過去ログ - 佐天「嫁にして下さい!」 一方通行「ゴメン、ちょっと待って」
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140:貧乏螺子 ◆d85emWeMgI[sage]
2010/12/14(火) 23:39:02.39 ID:BQbw8is0


「俺に話してどォすんだ。どォして欲しいンだ?」

「………」

佐天がぎゅうっと裾を握る力を強める。

鬱陶しい、そう思っているのは本当なのに。

けれども一方通行はその手を不思議と振りほどく気になれなかった。
らしくも無い己の感情に戸惑うのは果たして何度目だろうか。
沈黙が、針のように降り注ぐ。頬が、首が、肌という肌が痛い。
耳鳴りがする。まるでこの沈黙を拒否しようと呻いているようだ。


その不思議な痛みが、大切に思っている人を、心ならずも傷つけようとすることから来る『罪悪感』であると、一方通行にはわからない。


「………そうですよね」

それは押し潰される寸前の悲鳴のような呟きだった。
今にも消えて無くなってしまいそうな、か細い泣き声だ。

「一方通行さんにはわからないですよね………私の気持ちなんて」
「あァ…?」

それは能力の事だけを指した言葉ではなかった。
普段可愛らしいとさえ思っている彼の鈍感さが、この上なく憎かった。
気にも留めない、留めてくれないこの少年が恨めしかった。

心の奥底に押し込めてきていたコンプレックスが、まとめて目の前の一人の男に向けて噴出そうとしているのを、
何処か冷めた頭で佐天は眺めていた。




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