過去ログ - 佐天「嫁にして下さい!」 一方通行「ゴメン、ちょっと待って」
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貧乏螺子
◆d85emWeMgI
[sage]
2010/12/14(火) 23:42:53.78 ID:BQbw8is0
「レベルなんて関係ない……よく言うよ。そんなもの、自分には有るから言える言葉なのに。
特別だから、特別なんてどうでもいいなんて言えちゃうんだ。
そんなの…そんな言葉言われても…喜べないよ……全然、全然嬉しくなんて……ない…」
握った裾に力が篭る。
少女の手を振りほどくことなく、少年はじっと言葉を受け止める。
少女の足元に小さなシミが浮かんでいることに気付かぬフリをしながら、一方通行は佐天涙子の言葉を待つ。
「そんな風に、無神経に気を遣って欲しくない……同情されても嬉しくない…ッ」
顔を上げた佐天涙子の大きな瞳には、透き通るような泪が湖面のように満ちていた。
月灯りを浴びて、小さな結晶の輝きのように光る雫が、顔を上げた拍子に零れる。
佐天の足元のシミが増える。
「見下した優しい言葉なんて ――― いらなかったッ!!!」
パタパタと零れ落ちる滴が、月色に彼女の瞳の淵を、頬を飾る。
赤く染まる頬の上を澄んだ泪の道が走る。
一方通行は不覚にも、僅かに息を呑む。
綺麗だ、言葉に現すとすれば、一方通行のその時の心情はその一言に言い尽くせる。
頬を赤くして、苦しげに眉を寄せて、潤んだ瞳は月明かりを浴びてぞくりとするような色気を放っている。
頬を伝うひとつひとつに佐天の思いが込められているように思えた。
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